桜庵の箏日記 ~箏の奏法(散し爪・押し合せ・裏連)~
日曜日担当、箏・三絃大好き「桜庵」です。今日は「箏の奏法」 の話です。
以前、 「箏曲大意抄(そうきょくたいいしょう)」 という書物にある
「右手十七法」
の奏法説明の続きです。
今日は、表の6番から8番までです。
動画でお見せすると分かりやすいのですが、今回も、画像と言葉の説明で頑張ってみます。
<表の6番 「散し爪(ちらしづめ)」>
これは・・・・・・・。
流派、人、本によって、とらえ方が違っているようです。
表の縦譜の例は、
輪連で「一二」以外の単音を弾くもの、
を「散し爪」として紹介しました。
しかし、
表の9番「波返し」、10番「輪連」 の奏法
を「散し爪」と、とらえる場合もあります。
とりあえず、「一二」 以外の絃を、一本のみ弾く 「散ら爪」 の弾き方を説明します。
例えば、表の縦譜のように、
「五の上に←」 があれば、
「シュッ」 と表現される奏法です。
中指の爪の横で、表示されている絃(ここでは五)を、右から左にこすって摩擦音を出します。
右側少し高い位置から、円を描くように、絃をこすり、左側少し高い方向に上げると美しく、きれいな?摩擦音が出ます。
でも、必要以上のパフォーマンスは、不自然です。
① 構え(「五の上に←がある場合」
② 絃をこする
③ 弾いた後
<表の7番 「押し合せ(おしあわせ)」 >
右手の手法というより、左手の手法です。
後日、左手の手法で説明しますが、隣り合う二本の絃の下の音を半音または1音上げて、手前の絃と同じ高さにして、2つの絃を同時に弾きます。
「リャン」 と表現されます。
ポイントは、左手の押さえる力加減です。
多くの場合、
「オ(強押し)」は、押しが不足し、
「ヲ(弱押し)」は、押し過ぎる傾向があります。
耳を澄ませて
同音になるよう、加減してください。
弾いた後は、必ず次の絃にあてて止めます。
<表の8番 「裏連(うられん)」>
「サーラリン」 と表現される奏法です。
流派によって、弾き方が違いますが、
生田流の一つの形を紹介します。
「裏連」 の説明を、
3つまたは4つの動作に分けている本や動画が多いようです。
私は、3つに分けてみます。
① 「巾」のトレモロをする。
肩の力を抜き、「巾」の絃を直角に切るように、人差し指の中指側の角で、細かく往復させます。
爪は、絃に浅く当てた方が、往復しやすくなります。
この時、親指を人差し指に軽く添えて支えます。
② 親指を離し、中指が先行、その後を人差し指が追うようにして、「一」の絃に向かって交互に、爪の裏で絃に軽くさわっていきます。
この時、親指は空中にあります。
また、この動作は、少し弧を描くように移動させると音色が美しくなります。
③ 最後は、親指で、終点の音を2~4音(楽譜には、2音だけ書いてある場合が多いようですが、前の音からのつなぎを考えると、もう少し前の音があったほうが、つながった感じがします。)を、ほぼ同時に弾きます。
弾いた後の爪は、下向きです。
向こう側に跳ねると、音質も悪く、柱が飛ぶことがあります。
一まで降りずに、途中の指定された絃で止める場合もあります。
この①②③の動作を、ひとつの流れとして、自然につないでください。
難しい奏法です。
ところで、
「演奏会での失敗。 やってしまいました。」
立奏での演奏でした。
箏6人、十七絃1人,尺八3人という編成で、
私のパートは、2人。
演奏の途中までは、大変スムーズに進んでいたのですが、
「あっ!」
なんと、中指の琴爪が、はずれてしまったのです。
足元に落ちたようですが、ちょっと見ただけでは、どこに落ちたかわかりません。
親指でなくてよかったものの、
その後は、中指を、人差し指で代用しての演奏になりました。
曲の後半は、1オクターブの和音演奏がたくさんあり、人差し指では厳しいか、と心配しましたが、どうにかなりました。
短い休み(2小節間)で、落ちた琴爪を拾おうと試みましたが、どこにあるかわからず、諦めました。
演奏は、どうにか終了し、ほとんどの人は、この異変に気付いていないだろうと思います。
でも、人差し指では、中指ほどの音量が出せていません。
それに、見ている人の中に、足元を気にする姿に違和感を覚えた方がいらっしゃったかもしれません。
一番申し訳なかったのは、同じパートを弾いた、もう一人の仲間です。
「『足元を気にしながら弾いている』 のが気になった。」 と、後から話してくれました。
ごめんなさい。
ん、、、、。
原因を考えて、失敗を繰り返さないようにしなければ、、、。
追伸
箏を弾かれない方のために、手作り品の紹介です。
今日は、地刺し(刺繍)の 「テーブルセンター」です。
模様は、「ヤツデの花」 です。
ヤツデは、縁起が良く、魔除けの効果がある、と言われるそうです。
「目が細かく面倒そうな模様なので、出来上がらないかな?」
と、思いながら始めましたが、
やがて慣れて、パターンも自然に覚えられ、設計図(パターン図)を見なくても針が進むようになりました。
箏や三絃と同じ。
少し難しいかなと思っても、繰り返しているうちに、
コツがつかめるものですね。
「どんだけ ヒマなん?」 と言われそうですね。
さほど、時間はかかっていないんですよ。