今日はブログの種切れ

 

 

こんな記事がメールで入りましたよ

 

 

中野 伊知郎

 

 · 

脳腫瘍外科医、脳神経科学者 (1993–現在)

心臓はほとんどが筋細胞で形成されているために、人体の筋肉が癌にならないように、心臓には癌が発生しません。

しかし。

正確に言うと「癌」ではありませんが、「腫瘍」は稀に心臓にもできます。心臓粘液腫(myxoma)と呼ばれる腫瘍で、左心房にできます。循環器内科の友人から聞いた話ですが、左心房には心拍を制御する電気的シグナルの伝道に関わる細胞があり、そこに「幹細胞」と考えられる細胞が同定されたと言う論文が10年ぐらい前から出てきています。ただ、それを否定するデータもあり、いまだ議論のトピックの一つだそうです。

どういった臓器が癌になりやすいかと言うのは、数年前のScienceに出ていたデータですが、その各臓器に存在する幹細胞の数(割合だったかもしれません)に比例します。臓器特異的幹細胞が癌の原因細胞であると言う説の根拠になっています。一つの細胞に4−5の遺伝子異常が蓄積しないと癌化しないと考えられているため、生涯を通じて分裂する(と考えられている)臓器特異的幹細胞には、癌化のリスクが他の細胞に比べより高いと言えます。細胞分裂に伴って遺伝子異常が起こるからです。

幹細胞かその下流の細胞が癌の発生に関わっている事は、臨床データ研究データ両方から疑いないようですが、そうは言っても、ゆっくり癌化していく臓器(大腸や甲状腺など)と急速に癌化する臓器(脳や皮膚、膵臓など)があるのは、理由はわかっておらず興味深い現象です。ゆっくり癌化していく場合は、当然ですが前癌段階を捉えることが大切になります。予防ですね。癌化の複数のステップを捉えられる画像診断の正確性も大切になってきます。一方で前眼段階なく急激に癌化する臓器の場合は、いかに再発をコントロールするかと言うことが主眼になります。どうしても後手に回りがちで、故に予後が悪くなります。

 

 

なんだかよく分かりませんが、失礼しました。