日生でFF公演、特別公演それぞれ1回ずつ観劇、配信も視聴しました。
Blu-rayが待ち遠しい〜!
ガイズの感想も書きたいけど、チケット半分飛んだので記憶があまりなく…。
以下ネタバレありの感想です。
一応事前に『精霊の守り人』と『闇の守り人』を読んでアニメ版を見たのですが特に原作ファンというわけではないので解釈不足とかあっても許してください
ストーリーとしては原作のシビアな部分はほぼ描かれず要点を絞ってまとめられていたので、削られた部分が好きな原作ファンの方からは不満が出そうだなとは思いましたが私は普通に楽しんでいました!
子供達に向けた作品だからこそ、一つ一つのセリフや歌など全てが丁寧に構成されていた印象。
ただチャグムがタンダに一人で助けを求めに行くシーンは欲しかったな。
セットはとてもシンプルでしたが、映像投影や幕を使用して場面場面を表現していました。
個人的に映像を使いすぎるとチープに感じてしまうのですが、ほとんど背景に徹していたのであまり気にならなかったです。
劇場全体を使用したナユグの表現は観客と舞台が繋がっている舞台ならでは、さらに日生劇場内部のデザインも上手く利用されていておおー!と大人ながら興奮しました!
そんななかでも水や呪術の表現は人だったり、映像すら全く投影されず演者の芝居で繋ぐシーンもあったりで、うまい具合に想像力を使って補完する必要がある映像と人力のバランスでした。
しかしラルンガも「あっ、そこはアナログなんだ」と思ってしまい…大人はこれだからダメ…。
幕間にもナージが飛んでいたり鳴き声が聞こえたりして物語の世界に入ったような体験ができるのもとても良かったです。
舞台に通いまくるオタクになると忘れがちですが、劇場体験って非日常なんですよね。特に子供たちは何度も足を運ぶ訳でもないですし。
そういう一時を楽しんでもらおうという工夫がきちんとされていて、日生劇場さんさすがでした。
私が今回の『精霊の守り人』で1番楽しみにしていたのは、本来会うことのなかった2人が共に旅をすることで生まれるバルサの心境の変化とチャグムの成長でした。
ファミリー公演でこの作品を選ぶということはここに重点を置いて創るのだろうなということは容易に想像できましたが、最適なキャスト陣だったと思います。
観劇回は全て明日海バルサ。
バルサはエドガー含め退団後の役で一番男役イメージに近しいので男役っぽくなるかなと思いましたがそんなことはなく、寧ろ新しい明日海さんがたくさん見れたお役でした。もちろん男役の経験は活きていると思いますが!
そして原作付きでキャラクター背景がしっかりあるため一つ一つの演技に見応えがあります。
チャグムへの眼差し、チャグム&タンダとの家族のような温かさ、タンダとの幼馴染ならではの軽快なやり取りと切ない想い…。
序盤チャグムに向かって「全ての命に意味がある」と歌うバルサがなぜ人を殺すんだ…と思ったのですが、この歌の影響でタンダからバルサの過去が語られた後に登場し歌うバルサの影が色濃く見えました。
理不尽な運命に振り回され生きるためには戦うしかなく、そのうちに戦う生き方しかできなくなってしまった。命のやり取りの虚しさをわかっているからこそ意味の見出せない戦いに身を投じるしかできない自分に苦しむ、そんなバルサなので「自分を見るということが一番難しいんだよ」という台詞もしっくりきます。
バルサ、タンダ、チャグムはまるで家族のようですが、3人とも従来の性別等の規範から解放されたキャラクター造形になっていることもこの作品の好きな部分です。
戦うのは男性、家庭を守るのは女性という役割がバルサとタンダは逆転していますが、お互い自分の得意分野を担当しているだけで何ら不思議なことではない。
特別公演で追加されている2人のむず痒い関係も、男女の恋愛としては長年熟成されすぎた感のある、幼馴染ならではの家族のような愛情を感じます。
迷いを抱えたまま戦うことしかできないバルサを包み込むようなタンダの優しさと、そのタンダの優しさを一幕では拒んでしまいつつ、「私はかわろうと思う」「戦うことを忘れることができたら、またここに戻りたい」というバルサ。えっ両思いやん。
旅を終えたバルサは真直ぐタンダの元に戻るんでしょうね。
ボーイミーツガールな作品も相手を支配したいという愛を描いた金色の砂漠みたいな作品も大好物ですが、バルサとタンダの関係性、沼だな…。
現代では性別で役割を決めるのはやめようという風潮がありますが、初版の1996年当時はどうだったんでしょうか?
私はまだ生まれてもいない年です。本当に長く愛されている作品なんだな〜。
チャグムも子供として守られる存在ではありますが自分もまた精霊の卵を守っています。チャグムはバルサやタンダから世の中のことを教わっていきますが、彼が自分の運命を受け入れ精霊の守り人としての覚悟を持つ様子はバルサにも大きな刺激となり、「ジグロはどんな気持ちで自分を命懸けで守ってくれたのか」「なぜ自分は戦うのか」という長年の疑問に一筋の光を与えます。
そしてこの「守る」という台詞に関して。
バルサが不安げなチャグムに向かって言う「必ずあんたを守ってやる」という台詞で、『おちょやん』で千代ちゃんがルリ子さんにかけたこの台詞を思い出しました。↓
「うちは絶対に高峰さんを裏切ったりなんかせえへん。せやさかい高峰さんも今まで頑張ってきた自分自身を裏切らんといてくなはれ。」
千代ちゃんのこの台詞はとても印象的で、自分を信じてくれる人がいるということは大きな力になるし、それで踏み出せる一歩があるんだと朝から号泣した記憶と共にずっと覚えています。
チャグムにとってバルサは絶対に自分を守ってくれる人=絶対に自分を信じてくれる人で、バルサの存在に後押しされ精霊の守り人としての覚悟を決めたチャグムの姿に千代ちゃんとルリ子さんが重なりました。
ラストで歌われる
「精霊守りし優しい子、子を守りし者
互いに守り合い生きていく」
という歌詞は一方的ではないバルサとチャグムの関係性にぴったり。
「守る」ということとは?そしてその先にあるのは何か?を子供たちがこの作品から学んでくれると良いですね。
一幕ラストはこれぞ明日海りおの歌の真骨頂で震えました!
望まぬ運命に翻弄された少女の影を纏い登場するバルサの、償いのための戦いに意味はあるのか?という問いから、今できることはチャグムを守ることただそれだけという決意。そのバルサの感情の揺れとリンクした歌唱、最後の劇場全体を包むようなオーラと歌声!
音楽劇でしか味わえない魅力が詰まったシーンでした。
譜面に関してはエリヘレの「男だったら」とか「二人きりで」の方が高いような気がするのですが実際どうなんだろう?
終盤狩人たちと共闘するシーンで1番最初に飛び出していくバルサ先輩。かっこいい!すてき!
このシーンなんかジャンプ感ありますよね。努力!友情!勇気!みたいな。
ジャンプ1回も読んだことないけど…。
それにしても明日海さんって何種類声があるんでしょうか????
経験と年齢を重ねた女性、という点でバルサと共通している人物にルリ子、店長、エリザベスがいますがそれぞれ全く違う声でびっくりします。
退団後に「そんな声も出せるんだ…。」と驚いた回数は数知れず。(例:鳩、ちびエリーザ)
ヴォイスインブルー楽しみ!
そしてバルサは無口という訳でもないですが口数の多い人ではないので一言に込める想いが濃かったように思います。
バルサの密度の高い一言一言にエリヘレの戸田ヘレナさんのセリフの密度を思い出し、戸田さんとの共演が活きているのかなあと
タンダ役の村井さんは初めましてでした!
村井さん、もしかして口角あげたまま喋ったり歌ったりできるフレンズですかね?
お芝居も歌声も明日海バルサとカチッとはまってさすが幼馴染!だった上に特別公演ではバルサの葛藤をとっくに見抜いておりそれを包み込もうとする優しさにさすが幼馴染…となりました。
また明日海さんと共演してくれないかな。次は宿敵同士とかで観たいです笑
子役の2人は初舞台とのことでしたが、めっっっちゃ演技が上手い。
ニノ妃に「この人と一緒に暮らすのです」と言われた後の「なぜですか?」「はい…。」が2人とも絶妙で、本当に何も知らない無垢な子供そのままがこの一言でよく表れていました。
そんな大人たちに言われるがままだったチャグムが、最後は「俺はバルサとタンダとずっと旅をしていたい」とはっきり意志を示すようになって、それが台詞だけではなく瞳にも映されていて。
その後のバルサとのやり取りはエリヘレラストに匹敵する2人芝居シーンだったと思います!
「ひと暴れしてやろうか?」と聞くバルサに、「暴れるのは他の子のためにとっておいて」と気丈に言うチャグム。この台詞は自分からバルサに別れを告げると言うことになり、そして恐らくもう二度と会うことができないであろうことが2人ともわかっています。
「じゃあ、お別れだね。」とバルサから告げられ、改めてお別れを実感して涙ながらに「『さようなら、チャグム』って言ってくれ」と言う台詞は、冒頭のように言われるがままに別れるのではなく、自らの意志でバルサと別れることを決めそして皇子として再度生きることを覚悟したチャグムの最後のバルサへの甘えにも思えて毎回涙&涙。
バルサ達との別れと、新しく自分に課せられた運命を受け入れたチャグムの眼差しの強さも印象的でした。
チャグム、君は絶対にいい君主になるよ…!
台詞の間や抑揚がもう少しほしいなとか最初は思っていたのですが、作品を観ていくうちに他者との感情の交流で人が形成されていく、ということを2人ともきちんと体現していて、もしかしたら今まで私は舞台のお芝居ではなく様式美を楽しんでいたのかもしれないと自分の観劇姿勢を反省するきっかけにもなりました。
明日海さんも何かのインタビューで「忖度がないからまっすぐ芝居をぶつけてくる、私よりもずっと純粋に舞台と向き合っている。」みたいなことをお話しされていた気がします。
黒川くんは『怪物』で主演を務めていますし、込江くんは『エール』や『鎌倉殿の13人』にも出演していて演技力は折り紙付き。
今後の活躍も楽しみな役者さんです。
2人ともコメント動画の時より大人びていてびっくりしました!子供の成長速度ってすごいんだなあ…。
成長するのはいいことだ
バルサについて、「男役っぽくて」かっこいいという感想をよく見かけ、確かにバルサは最高にかっこいいけどじゃあ男役っぽくなかったエリザベスはかっこ良くないのか?めちゃくちゃかっこよかったが…とか色々考えておりました。まあ「かっこいい」の定義によると言ったらそこまでなのですが。
私は何かに立ち向かい戦いながら必死に生きる人は、年齢性別関係なくみんなかっこいいなと思っています。
そして確立された自分の意志があるのも、エリザベスとバルサに惹かれる理由の1つかもしれません。
どんな役でも基本自分の意志で行動を起こしていると考えてますが、その意志の由来や行き着く先が気に食わない時があるんですよね笑
Part of ○○ World的な…この例えわかりますかね…。
自分の内からの意志で物語を力強く動かし己の道を進む2人は私にとって本当に魅力的!
性別を超え1人の人間として生涯を終えたマドモアゼル・モーツァルトもすごく好きです。
今回はファミリーミュージカルということで、FF公演では子供達の笑い声が聞こえたり、終演後感想を楽しそうに親へ話す子もたくさんいて、普段の殺伐としたw客席しか知らないオタクとしてはファミリーミュージカルっていいなあ!!!と思いました。大きいお友だちが失礼いたしました!
日生のファミリーフェスティバル公演が観劇初体験というお子さんも多いようで、「明日海りお」という名前は覚えなくとも、誰かの原体験の中に明日海バルサの姿が残るかもしれないと思うともうその時点で感無量。
今年は戸田さんや黒川くん、込江くんと、普段私がよく観ている東宝梅芸ホリの作品ではあまりお目にかかれない素晴らしい役者さんのお芝居を観る機会が多くてとても新鮮です。特に精霊の守り人は明日海さん含め映像でも活躍している人が多いですね。
『推しといつまでも』をTVerで見ていたら水石亜飛夢さんご出演のドラマがCMで流れてきたり、『育休刑事』にたくさん精霊の守り人メンバーが出演されているなと思ったら演出に一色さんのお名前があったり。(いつか明日海さんも期待していいかな?笑)
年代出自活躍フィールドの異なる色んな役者さんとの共演で明日海さんのお芝居にもさらに磨きがかかったのではないかと既に次回作に期待マシマシです。早く教えてくれ!
今年の舞台出演はこれで終わりだと思いますが、両作とも「楽しかった〜」だけで終わらず劇場から持ち帰るものがたくさんある作品でとてもとても満足でした!