民主党大勝は、何を意味するのか? | QVOD TIBI HOC ALTERI

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„Was du dir wünschst, das tu dem andern“.

 去る8月30日の衆院選で、民主党が大勝し、半世紀にもわたった自民党支配がやっと幕を下ろした。率直に言って、遅きに失した感がある。これが10年早ければ、日本は何とかなったかもしれない。しかし、今やもはや手遅れである。

 とにかく、今回の選挙では、国民の腐敗しきった自民党支配に対する嫌悪感が民主党を勝利させたのだと思っているが、それだけでなく、今回の選挙では、少なくとも私は、自民党政治だけでなく、日本の既存の支配構造・社会構造すべて-換言すれば、「権威」そのもの-が国民の多数派によって拒否されたのでは、と思っている。

 つまり、多くの国民は、意識的にしろ、無意識的にしろ、これまで自分たちを愚弄しつづけた、マスコミを含めた政官財のすべての支配構造に、"NO"を突きつけたのではないか。そうだとしたならば、これは「革命」といってよいのかもしれない。

 日本の支配構造は、すでにあまりに硬直化しきっており、激変する国際情勢の中で日本を統治するには、もはやその能力を失っているように思われる。それに加えて、度重なる不祥事や昨今の政治経済情勢から、エリートと呼ばれる人々の能力に、大きな疑問符が突きつけられていることも、否定できないのである。

 要するに、優秀とされていた名門大出身の官僚や企業のトップなどが、実際には、単なる馬鹿ではなかったのかということである。東大を頂点とした日本の教育システム自体、すでに制度疲労の極みに陥っており、もはや真に能力のある人材を生み出せないのが実情ではないか。そんな連中に国の重大事を任せておけないというのが、今回の選挙結果の底流にあるような気がする。

 しかし、時はすでに遅し。今ごろ政権交代を成し遂げても、実権のない政治家を新しい面子に取り替えただけで、その背後に控えている官僚群や、同じく腐敗の極みに陥ってるマスメディア、大企業、その他、日本の従来の諸制度すべてを根本的に刷新しなければ、日本はいずれ終わるのだが、それを防ぐことは不可能であろう。というのも、政権交代してもしなくても、日本はすでに終わっているからである。