体調が元に戻った私は
旅を続けるために北へと向かったが
私たちの行く手を
河が阻んだ
橋は爆撃によって破壊され
泳いで対岸に渡るしかない
この子たちには到底 無理だ
川辺に小舟を見つけた
私は - - -
笑顔で
舟の持ち主に声を掛けた
こんにちは いいお天気ですね
対岸に祖母が住んでいて
これから会いに行くのですが
橋が壊され渡れなくて困っています
あの舟を出して頂けないでしょうか?
お礼はします
母の腕時計を男に渡したが
水が入って故障していた
他にはもう 何も残ってはいない
好色そうな男は
私の身体を求めてきた
いつの間にか
そこにトーマスが立っていた
私はじっと彼を見つめながら
ドレスのボタンを外していく
あなたの本当の気持ちを知りたくて
彼から
決して視線を逸らさずに
ひとつひとつボタンを外して
白い素肌が露わになる
私を凝視する
トーマスの視線
困惑の色が見てとれた
やがてその悲しみを帯びた困惑は
怒りへと変わる
狂気を秘めた怒り
トーマスの手に握られた
黒い岩
瞬きひとつせずに
別の男に抱擁される私を見つめる
その視線が - - -
男の後頭部へと移った時
あの惨劇は起きた
これが私への愛なのね?
私を汚す男を殺めることが - - -
一撃した男の頭部を更に殴打して
止めを刺す
凶器に使われた黒い岩
男の赤い鮮血が
緑色の葉を赤く染める
大丈夫だったかい?
あなたは顔色ひとつ変えずに
私のドレスのボタンを留めていく
その手で
いったい何人の人間を傷つけてきたの?
私はあなたが恐ろしい
あなたの私への愛が - - -
その冷静沈着な表情の奥に潜む
逸脱した狂気が - - -
私は怪物を愛してしまったの?
あなたが殺人犯でも
ユダヤ人でも
逃亡犯でもいい
あなたを愛しているの
この胸が張り裂けるほどに - - - ✨
別の男に抱擁されながら
彼女の眼は
トーマスしか見ていないんですよね
彼の本当の気持ちを知りたくて
こんな行動に出てしまう
屈折してますねぇ〜
でもそれによって
彼の思わぬ一面を知る
ローレ
たとえ殺人犯であっても
ユダヤ人でも
逃亡犯でもいい
あなたを愛している
彼への愛を
確信する
ローレでした - - - ✨
次回へと続きますね ✨
久々のランクイン
今回はかなり熱が入ったレビューなので
励みになります
ずっと書きたかった作品
ありがとうございます🙏