19歳のシドニーは
王妃マリー・アントワネットの
側にいたいがために
王妃の朗読係として奉公していた✨
彼女は王妃のことを秘かに愛していたが
王妃にはポリニャック公爵夫人という
寵臣で愛人の女性がいた
ポリニャック夫人は自由奔放なひとで
その掴みどころのない魅力に
王妃は熱い恋心を抱いていた✨
そんなポリニャック夫人に
激しい嫉妬の炎を燃やすシドニー✨
やがてバスティーユ牢獄が民衆によって
陥落してフランス革命が勃発し
286名の王侯貴族たちの名前が書かれた
ギロチンリストが読み上げられる
名簿の最初に記載されていたのは
王妃マリー・アントワネット
ポリニャック公爵夫人の名前もあった
次々と宮廷を後にしていく貴族たち
王妃と運命を共にすることを願う
シドニーに
資料編纂官で宮廷での父親的存在である
モローから
君は宮廷以外の生活を知らない
ここが全てではない
宮廷に仕えているからといって盲目にはなるな
民衆は君が愛するように
王妃のことを愛してなどいないのだと助言される
ポリニャック夫人を
部屋まで迎えに行くが
無防備な姿で熟睡する夫人に
彼女の裸体を
凝視しながら
激しい嫉妬と嫌悪感に襲われる
ギロチンリストの存在を知った王妃は
ヴェルサイユ宮殿を捨てて
堅牢な要塞があるメスに逃げて
徹底抗戦を画策するが
夫である国王ルイ16世の決定に従い
闘うことを放棄して
子供たちと共にヴェルサイユでの
事実上の軟禁状態におかれる
ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊に現れた
ポリニャック夫人との今生の別れ
涙を流す王妃の前で
王妃のことを
愛していることを知るガブリエル✨
しかし時は既に遅し
後ろを振り返らずに前を向いて歩いて行く
彼女を安全に逃すために
シドニーに
ガブリエルの替え玉になることを求める
緑色のドレスを着て
彼女の身代わりになることは
彼女にとって屈辱であり
地位も名誉もない朗読係としての
自分の弱い立場を思い知らされるが
王妃に心酔するが故に
眼に大粒の涙を溜めながら
冷酷で残酷なその頼みを
受け入れていくのだった - - -
宮廷という外界から隔離された
特殊な状況下で芽生えた恋✨
女同士の三角関係の恋愛模様を
ストーリーの軸においた
この映画の特筆すべき点は
ポリニャック夫人以外は
王妃もシドニーも恋する相手に
心酔しているということなんですね✨
王妃はガブリエルに
朗読係のシドニーは王妃に
盲目的に無条件に心を奪われていて
モローがこのことを指摘しますよね
シドニーは宮廷以外の生活を知らなくて
宮廷で接する可憐で天真爛漫な
王妃を愛していて
王妃のこの表面的な部分しか知らない
でも宮廷の外で暮らす人間・民衆にとっては
王妃は自己中心的で
浪費家で国民を顧みない
王妃の資質が欠如した女性でしかなくて
場所や環境が変わればその人物の評価は
こんなにも変わってしまう
盲目的に王妃に心酔するシドニーは
最後になって王妃のこの自己中心的な
一面を知ることになります
つまり恋に恋をして
相手の良い所しか見ようとしなかった彼女が
相手の別の一面・本質の部分を見るんですね
そしてそれを言葉にして
王妃に伝えることができるようになる
彼女は人間として成長しましたね✨
愛って時に残酷になり得るもの
王妃のこの冷酷さも
元々の人間的資質もあるけれど
ポリニャック夫人への
盲目的な愛がそうさせているんですね
愛を守り通すために
人間は平気で残酷なことをしてしまう
恋敵の身代わりとなることを要求され
人間の命の尊さを無視する
王妃の非情な仕打ちに
シドニーは言葉という武器を使って
王妃に反発しながらも
涙を流しながら最終的に受け入れていく
優しい女性ですよね - - -
包みこむような大きな愛を持ったひと✨
彼女は王妃の気持ちが分かるんですよ
自分も盲目的に王妃のことを愛しているから
残酷なまでに相手への愛を貫こうとする
王妃のこの冷酷さを本能的に理解できるの
でも一方通行な愛って辛いですよね
相手は他のひとを愛していて
自分の愛が報われることはない
それでも愛さずにはいられない
この映画は愛の本質を描いてますね
愛ってまず自分から始まるものじゃないですか
愛って突き詰めれば全て自分なんですよ
だから私 好きなんですよね
この作品が - - - ✨
愛ってね 報われるだけが愛じゃないのよ
寧ろ報われない方が余韻があって美しいんです
こういう恋愛をしていると
人間の心に陰影を作りますよね
影のあるレア・セドゥにぴったりな配役
この役は彼女が演じたからこそ真実味が出ている
その辺りを丹念に描いたザ・フランス映画✨
隔離された状況下だからこそ燃え上がるの
これだけの仕打ちを受けても
愛の前では人間って無力な存在ですよね
愛は時に人間を強くもするし
また弱くもすると私は思ってます✨
この接吻は切ないですね
愛するひととの初めてのくちづけだけれど
相手は別のひとのことを想像しながら
接吻をしている
でも最期に愛するひととくちづけができて
一生の想い出になりましたね✨
「一人の女性を好になったことある?」
王妃がシドニーにポリニャック夫人への
恋心を打ち明けるシーン✨
恋する女・王妃マリー・アントワネットの繊細な表情を
うっとりとした笑顔で見つめるシドニー✨
彼女は王妃がガブリエルのことを
言っていることを勿論承知しながら
そこに自分の王妃への熱い想いを
重ね合わせています✨
このシーンはね シドニーにとっては
王妃とのラブシーンなんですよ✨
王妃の話す恋する相手を
自分だと錯覚することで
無意識のうちに恋心を満たしているの
でもそれはあくまでも
錯覚に過ぎないんですね
こんなにも王妃に愛されている
ポリニャック夫人が羨ましくもあり
また妬ましいという負の感情が湧いてくる
熟睡するガブリエルの
艶かしい裸体を見つめながら
嫉妬の炎に狂っていく
恋の夢を見るシーンと
それとは対極な嫉妬と憎悪
二つの異なる感情を対比させて
彼女の心の内を描いた
上手いシーンですね✨
ポリニャック夫人という女性は
自由を愛する奔放な女性であり
王妃の寵愛を利用してのし上がる
強かなひとでもあって
彼女の愛は常に自分に向かっていて
相手には向かないの
つまり自分しか愛せないひとなんですね
こういうひとを好きになると大変なことになるんです
散財をして貢ぎまくって地位や名誉も与えて
相手の気を惹こうとしても
肝心の心までは得られない
彼女の心は自由だから
そんなものでは動かないんですね
でも最後の最後に心が動くんです
王妃のことを愛していることに気づいていく
しかし時は既に遅し 別れの時が迫っている
ここで彼女の本質が出るの〜
死にたくない 愛するひとのためでも死ねない
彼女はね 生きることに貪欲なひとなんです
自らは死を選ばないひと
自分が一番好きなひとだから
相手のためには死ねないの
どんな手段を使ってでも生きていくひと
王妃はね 振り回されて傷ついて
もうぼろぼろになっていくんですよ
この崩壊していく王妃の様子を
じっとシドニーが部屋の片隅で見てるんです
何とも言えない表情でね - - -
愛って残酷だわ〜
ひとにはそれぞれに与えられた使命があって
この時のこの二人の立場が
それを物語っていますよね✨
最後まで王妃の側に寄り添うことを望む
シドニーに対して
この歴史的瞬間を克明に記録する道を選ぶ
モロー
彼の場合は歴史家としての使命なんですが
シドニーの場合は王妃への盲目的な愛が
相手が振り向いてくれない
報われない愛であるが故に意地になって
そしてその女の意地が
王妃を最後までお守りするという
使命感に繋がっていて
ちょっと複雑な使命感で
意味合いは違うけれども
使命だけは共通しているんですよね
この宮廷での父親的存在であるモローが
「命だけは粗末にするなよ」と言います
このモローの言葉に背いてしまうシドニー
でも運命はちゃんと彼女を守ってくれるんです
無事に国境を越えてスイスに辿り着く
身寄りのない朗読係シドニーと
孤独な資料編纂官のモローの
父と娘のような関係が
この女同士の愛憎劇に
恋愛以外の人間的な暖かみを与えています✨
王妃はシドニーに対して
恋愛感情はないけれど
朗読係の彼女にかなり心を許していて
ポリニャック夫人への
熱い想いを打ち明けたのもその一環なんですね✨
つまり彼女のことを信頼している
王妃はシドニーに
オーストリアから嫁いできた頃の自分を
重ね合わせています
たった一人で言葉も違う
外国のまだ見ぬ結婚相手の元に嫁いできて
大勢の召使いに囲まれながらも
内心は孤独だったと思いますね
精神的にも未熟で
王妃としての資質も備わっていなかった
不安と孤独って隣り合わせですからね
あの途方もない浪費は
孤独と不安を埋めるためだったようにも思えますね
ルイ16世との国同士の友好のための
政略結婚は彼女の心に空白を齎して
フェルゼン伯爵やポリニャック夫人との
愛人関係へと繋がっていく
物質的には恵まれいてもそこに愛がなけれは
人間は何か別のもので埋め合わせをしようとする
マリー・アントワネットは
幸せそうに見えてはいても
孤独な女性だったと私は思いますね
王妃ではなく最期まで一人の女だった
愛を求めていたんでしょうね
最期まで王妃にはなれなかった女
それが彼女の悲劇でもあった
ヴェルサイユ宮殿での宮廷生活を嫌って
トリアノン離宮に籠っていましたからね
一針 一針縫うごとに
王妃への愛を感じて
王妃が手にとってくれることを
想像しながら
王妃との別れも悟りつつ
最後は愛する王妃のために
死を覚悟する - - -
そんな名もなき
純粋な朗読係の少女を
私の大好きなフランス人女優
レア・セドゥが繊細に演じています - - - ✨
by 映美🧚♀️🧚