1938年 ナチス・ドイツが併合した
オーストリア・ウィーンで
ユダヤ系の医師の夫と暮らす
フランス人女性アリス
彼女には清い関係を続ける
反ナチで外交官である恋人
ジェロームがいた
アリスの夫ポールは
ウィーン大学の著名な外科医だったが
ナチスの将官の命を救えなかったことで
ユダヤ系故に職を解かれて大学を追われ
無念の自死を遂げる
4年後の1942年６月
夫の死の悲しみを抱えながら
ジェロームと共にレジスタンス運動に
身を投じたアリスは
ユダヤ人を国外に脱出させるために
その一時待機先として協力を求めた
ジェロームの幼馴染
シャルルと恋に落ちる✨
ジェロームからの指令で
パリに向かうアリスに同行するシャルル
危機一髪のところで彼女を救うが
ナチスの将校から恨みを買って
ゲシュタポに連行され
取り調べ室で辱めを受ける
愛しているわ あなたを - - -
愛しているよ 君を - - -
極限状態の中で
無言で愛を確かめ合う二人は
この後ホテルの部屋で結ばれる✨
駅で出迎えたジェロームに
レジスタンスを辞めて
シャルルとの愛に生きることを
伝えるアリスに
こんな時代に
幸せを求めることは間違っている
と言い残して去って行くジェローム
5ヶ月後 シャルルとの愛に生きる
アリスの元に
レジスタンス時代の仲間から
電話が掛かってくる
それはジェロームが逮捕されたという
突然の知らせだった
仕事を終えて帰宅したシャルルは
ジェロームを助け出すために
屋敷を後にした
アリスが書いた
手紙を受けとり
ひとり涙を流すのだった - - -
アリスの夫ポールは自殺だけれど
彼をあそこまで追いこんだのはナチスですよね
アリスにとってあれは自殺じゃなくて
ナチスに殺された
殺されたも同然なんですね
夫を失って失意の中にいる彼女と同様に
親友を自身が嫌うナチスに殺された
ジェロームもまた失意の中にいて
その思いを共有した二人は
レジスタンス運動に身を投じます
悪に悪で対抗するのではなく
夫と同じユダヤ人を救うことで
善をもって悪を制したい
一人でも多くの同胞を救いたい
そうすることによって無念の死を遂げた
ポールの霊に報いりたい
レジスタンスというのは
色んな背景を持った人々の集団なんですね
純粋に祖国愛から参加した人もいれば
ファシズムに反対する人たち
彼らのようにユダヤ人救出のために参加した人もいる
レジスタンスの中にはユダヤ人救出には
興味のないグループもいる訳です
つまり思想的には千差万別
二人が属するレジスタンス組織は
ユダヤ人救出を目的としたグループで
ドイツ軍の武器庫を襲って武器を集めたり
線路を爆破したりする武闘派ではなく
人種差別に反対する平和的グループですが
ユダヤ人を救うためには - - -
身を守るために銃も必要になってくるし
身元を隠して潜入して
相手を欺き嘘もつかなければならない
つまり平和的ではなくなる
アリスが去って行ったジェロームに対して
不幸なひと 殺伐とした人生が待っているだけなのにと言った
言葉の意味はこれを指しているんですね
シャルルが言うように
君たちのやっていることは危険と隣り合わせ
常に危険と対峙することで心が荒んでいく
気が休まる時がない
ユダヤ人を救うために始めたことなのに
アリス自身が救いの対象になってしまう
ジェロームと一緒にいる限り
君の悲しみは消えない - - -
シャルルのこの台詞は
運動の矛盾点を突いていますね - - -
強靭な精神力がなければ 務まらない世界
愛に生きる女性アリスは
運動に身をおくことに限界を感じて
人生を謳歌するシャルルに愛を求めていく
彼女は幸せになりたいの✨
殺伐とした時代だからこそ愛が欲しくなる
愛するもう一人の男ジェロームが
愛をくれないから - - -
ジェロームは彼なりに彼女を愛している
でも優先順位が彼女とは異なるんですね
彼にとっては運動が第一
愛はその後からついてくると思っている
でもね きちんと表現しないと愛は見えなくなるの
この人は愛し下手
愛し上手なシャルルとは対極にいるひと
こういう運動には向いているけど
恋愛の対象となると難しい相手ですね
でもそれでも愛してしまうんですよ
愛さずにはいられなくなる
これが恋愛の摩訶不思議なところ✨
シャルルの屋敷で数時間を過ごした
ユダヤ系の女の子の言葉✨
大きくなったらシャルルとジェローム
両方の男性と結婚したい
この台詞は二人の男を愛してしまった
アリスの心情を良く表していますね✨
彼女は元々そういう人なんですよ
二人の男を同時に愛せるひと
彼女は抱いてほしいと思っているけれど
彼は抱いてくれない
恋愛は二の次だと思っている彼は
恋愛至上型である彼女と
プラトニックな関係でいることで
彼女の夫ポールとの三角関係を
上手く維持してこれた
ストイックな彼は運動の支障に
なることを恐れて
その後もプラトニックな関係を続けますが
恋愛上手で魅力的なシャルルの前に
脆くも崩れさってしまう
何故なら彼女が運動に疲れて
ジェロームを愛することにも
疲れてしまったから
そして愛を求めているから
ジェロームとの関係性って
恋人同士である前に
運動上の上司と部下という要素が強くて
これがこの二人の関係をややこしくしていますね
命令を下すのは彼だからその彼には逆らえない
つまりシャルルといる時のような
対等な男女関係を構築することができない
これって恋愛に於いて致命的ですよね
何方かが我慢しなければならない関係って
片方に負担を掛ける分 長続きもし難い
愛を受け入れて
更に大きな愛で返してくれるひと
守ってくれるひと
安心感を与えてくれるひとに巡り逢えるって
最高ですよね✨
幸せになりたい女と
幸せとは背を向けて生きている男
でもそんな男を見捨てることはできない
愛のために生きたいというのが彼女の本質
そういう意味では
シャルルが正解な訳ですよね
彼となら幸せになれる
でも時代がそうさせないんです
この映画を今の感覚で観ては駄目なんですよ
シャルル あなたを愛しています
でもジェロームを見殺しにはできない
何とか助け出してあげたい
アリスの手紙にはこう書かれています
シャルルのことを愛しているけれど
同志を見殺しにはできない
アリスはイデオロギーに
縛られているんですよ
理屈が通らない精神状態
戦争という極限常態が齎す
一種の尊く崇高な - - -
でも尋常ではない心理状態
占領という眼の前の現実が
人間を盲目にしてしまう
だって考えてもみて下さいよ
ドイツ軍に捕まったジェロームを
彼女が救い出すこと自体 不可能なことくらい
普通の精神状態なら分かることですよね
つまり彼女は死を覚悟しているんです
運動のためなら 運動に身を捧げた
今でも愛する男のためなら
死んでも本望だと思っている
ジェロームって
亡くなった夫の幻影という位置付けもあると
私は思っています
ジェロームを見るたびに
夫のことを想い出してしまう
彼女はやっぱり夫のことを
一番愛していたんじゃないのかなぁ〜
傷ついた心を癒してくれるのは
優しいひとなんです
愛するひとを二度も失うことへの恐怖
ナチスへの憎悪・祖国愛
彼女は純粋に愛を求めようとしているのに
時代の波がそうさせてはくれない
許してはくれない
あんな快楽主義者の男と上手くいく訳はない
と言ったジェローム
でもね 主義主張が合うことも大事だけれど
やっぱり最後は優しさなんですよ
沢山の愛をくれて
命がけで守ってくれるひと
女は - - - こんなひとに心が動くの✨
結婚相手は優しく愛情深いひとが一番です
長い人生を共にする訳だから
頭と理屈で理論的に考えてしまうひとなんですよ
このひとは - - -
でもそんな不器用で不幸な男を
放っておけないというのも
また女の心理でもあるんですよね 💦
夫ポールの死を
その死の瞬間を目撃したことで
トラウマとなって彼女の心に棲みついていく
ジェロームと一緒にいる限り
その哀しみから逃れることができない
シャルルと出逢ってそのことに気づかされた
私は此処に残って幸せになりたい
シャルルとの愛を選択したアリスの前に
棄てたはずの過去が甦ってくる
彼女の手紙を読んだシャルルも
やがてレジスタンスに身を投じます
彼女との出逢いは彼の人生をも変えてしまう
彼女は愛する彼の元には帰って来なかった
これが - - - この恋の物語の結末なんです
サガンらしい
ほろ苦いエンディングですね✨
二人の束の間の幸せなひと時を
美しく輝かせている - - - ✨
このシーンが
二人の無邪気な笑顔が
こんなにも美しいのは
愛よりもイデオロギーが重要だった
時代に翻弄された
人間たちの姿を描いているからなんです
戦争という過酷な状況のなかで
夏の光りを一身に浴びて
美しく咲いた 愛の花 - - - ✨
戦火の中で咲いた愛って
どうしてこんなに美しいんだろう - - -
- - - と思わずにはいられない - - -
お姫さまです - - - ✨
by 映美🧚♀️🧚
ありがとうございます🙏
最後まで
ご鑑賞頂きありがとうございました 🙏
次回作で
またお目にかかれたらと思います - - - ✨