ソ連側の占領地帯で



爆発事件があったと部下から報告を受ける



モーガン大佐







2〜3日 家を空ける



クリスマスまでには戻ると妻に告げる







何処へ行くの?



私も一緒に行きたいわ







悪いがそれはできない



と冷たく答える夫







また陸軍の機密情報なのね



妻にも



決して言えないこと



あなたはいったい何をしてるの?



妻にも言えないことをしてるの?



マイケルが亡くなって



お葬式をすませたあと



6日間の休暇をとれたのに



一緒にいてほしかったのに



あなたは休暇もとらずに



すぐに仕事を始めた







あなたに



側にいてほしかったのに



あなたはいつも冷たい



居てほしい時に



居てくれない



あなたに感情はあるの?







戦争中だったんだ



しなければならないことが



山積みになっていた



俺にどうしてほしいんだ?







あの子を - - - 



もう一度 この手に抱きしめたいの







俺には - - - 



それはできないよ







行かないで



今は側にいて



と懇願する妻に







仕事に戻る



と席を立つ夫







夫の後ろ姿を - - - 



泣きながら追うレイチェル







でも彼女は知らない







夫の瞳にも



涙が浮かんでいることを



夫も息子の死を



哀しんでいることを - - - 




続く - - - 






続いて 第11話をお送りします ダウン ダウン













屋根裏部屋で



設計図を描く



ステファン







彼は



蓄音機から流れる



美しい歌曲を聴きながら







仕事をしている







ふと手を止めて







蓄音機のホーンを動かす







その美しい歌曲は



屋根裏部屋から







階下の部屋まで



伝わって







恋する



女性のもとへと届く







うっとりとした目で



その美しいオペラを聴きながら



彼の自分への



愛のメッセージを知るレイチェル







彼女は







ピアノの前に立つ







亡くなった



マイケル







一緒にピアノを弾いて







練習をした



息子の小さな手







良く弾けたわね



上手だったわよ



と息子に頬ずりをして







笑顔でみつめる



あの頃の自分







失った息子との



美しい思い出が



彼女の脳裏に浮かぶ







ドビュッシーが作曲した



美しく切ない名曲



月の光







楽譜の項を開くと



ステファンの亡くなった



妻の名前が



書きこまれている







日が暮れて



月で照らされた木々が



美しいシルエットとなって



月の光が - - - 



窓から差しこんでいる







彼女は



ピアノの前に座って



静かにピアノと向き合う







そして



ピアノを弾き始めて







月の光に



照らされながら - - - 







楽譜をみつめる







彼女の目に







涙が溢れる







帰宅した



フリーダ



その美しいピアノの音色に







亡くなった



母親が帰って来たのかと



立ち止まって







そっと



物陰から







その様子をみつめる







亡くなった



妻のクローディアを想い出して



ステファンも



美しく哀しい



月の光の旋律を聴いている







ピアノの脇に立って







レイチェルのために



楽譜を捲る



フリーダ







彼女は - - - 







レイチェルの横に座って







一緒にピアノを弾く







その姿に



亡くなった息子



マイケルの面影と重ね合わせる



レイチェル







月の光を弾く



フリーダをじっと見つめている




(レイチェルには



フリーダが



亡くなった息子のマイケルに



見えているんですね)








頑なだった



二人の心



元敵国人同士という



憎しみや哀しみ



そして - - - 



過去の罪を乗り越えて



今 ピアノという



共通の愛するものを通して



心を開いた瞬間でした





続く - - -