Bang & Olufsen
音楽を、
“擦り切れるほど”聴く
という感覚は、
今ではもうない人の方が多いのかもしれないが、
レコード世代ではないけれど、
カセットテープに録音した曲を、
テープが“擦り切れるほど”聴き込んだ経験があるという点では、
“擦り切れるほど”
は、私の中ではしっくりくる。
思い返せば、
小学生の頃、カセットウォークマンに夢中だった。
中学高校は、電車通学だったので、
CDウォークマン、今となっては知らない人も多いかもしれないMDウォークマンを、
通学の電車の中で欠かさず持っていた。
大人になってからはMarshallのヘッドホンを愛用していた。
4年ほど前、
BluetoothのMarshallヘッドホンに買い替えようとお店に行ったとき。
Bang & Olufsenのイヤホンと出会った。
お店で聴いたのは、
ロバートグラスパーエクスペリメントだったか、
なんて音が粒立って、立体的なのだろう!と感激して、
その日から、そのイヤホンを、1日たりとも離さずに持ち歩いた。
そのイヤホンが、
先日、壊れた。
修理はできない、と言われ、
遂に、買い換えることに。
この4年、
苦しいとき、
嬉しいとき、
寂しいとき、
辛いとき、
このイヤホンは、私をいつも別世界へと誘ってくれた。
イヤホンを耳に入れると、
遠い地球の裏側へも、
大切な思い出のワンシーンへも行けたし、
時に、まだ見ぬ未来を夢見ることもできた。
手放すと決めたとき、
沢山の音楽が走馬灯のように鳴っていた。
色はグレーがとても気に入っていたのだけれど。
その色はもうなくて。
悩みに悩んで、今回はベージュに。
まだ、
このイヤホンを耳に入れる瞬間は、
心なしかこそばゆい。
新しいイヤホンと私の間には、
どんな音楽の絆ができるのだろう。
これから毎日、よろしくね。