明けましておめでとうございます。今年も、おつきあいのほど、よろしく願います


 さて、本年の干支(えと)は卯(う)。兎(うさぎ)にまつわる言葉に<兎の字>という隠語があるのを高橋秀治著『動植物ことわざ辞典』で初めて知った。「兎」と「免」の字形の相似から、免職になることを意味するとか


 年頭から尾籠(びろう)な話で恐縮だが、古く<兎の糞(ふん)>という諺(ことわざ)もある。つまりその、あの、ころころっとした形から物事が長続きしないことのたとえ。近年のわが国の政権のありようはこの二語に尽きるといってもいい。いかにも。あっけない<兎の字>続きで<兎の糞>…


 だから<兎の字>ちらつく菅さんは、本当に踏ん張り所だ。自民党から民主党に政権が変わってもだめ、さらに首相が誰に代わってもだめ、という経験がこれ以上重なると、政治や国家、ひいては、あらゆる既成権威がだめ、という世界観につながりかねない


 そう言えば、英語には、手品に由来する<帽子から兎を出す>という言い方がある。苦境に思いがけぬ解決策が出る、との意味だが、社会にマジックのような解決策を求める気分が生まれては剣呑(けんのん)である


 経済面も含めて、今年も“登り坂”が見込まれる日本だけれど、何とか<兎の登り坂>にあやかりたいものだ。彼らの後ろ脚が前脚より長いゆえだろう。それは「得意な方面で力をふるう」との意味である。


 中日春秋 2011年1月1日


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