各地で大雪になるなど、日本列島が荒れ模様の中での、二〇一一年の幕開けです。厳しい寒さの中でも、早咲きの梅はほころび始めています。春遠からじです


 今年の干支(えと)は卯(う)。虎のように鋭い牙もなければ、牛のような硬い角もありません。従順な小さな動物ですが、猛獣に食べられないために、とても強い「武器」を持っています


 それは長い耳。野ウサギは眠っている時でも、遠くで落ち葉がかすれる音やカエルがはう動きに反応するほど鋭敏な聴覚を持っています


 かすかな音が教える変化の兆しをキャッチし、やがて押し寄せる変革の波に備える-。このデフレ時代に生きる私たちに、ウサギの耳こそが必要な武器かもしれません


 政治が頼りないのは近年変わりありませんが、心配なのは若者の元気のなさです。文部科学省によると、〇八年の日本人留学生の数は前年より約11%、約八千人も減ってしまいました


 未知の外国に飛び込んで力を磨くことよりも、三年生の時からスタートする就職活動を優先せざるを得ない事情のようです。昨今の就職事情がそれだけ厳しいことの証左でもありますが、学生たちをここまで内向きの思考に追いやる社会に未来はあるのでしょうか


 ウサギには強靱(きょうじん)な後ろ脚があります。大地を蹴り上げ、脱兎(だっと)の勢いで、青年が日本の社会を揺さぶってほしい。そう念願する年頭です。


 筆洗 2011年1月1日

 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge