ようやく沈静化ムードが漂った日中関係に、またきしんだ音が大陸の奥の方から聞こえてきた。中国四川省などで三日連続で起きた大規模な反日デモは、中国人が経営する日本料理店を襲撃するなど一部が暴徒化した


 本紙特派員によると、綿陽市のデモは地元の若者たちが計画。「釣魚島(尖閣諸島)は中国のものだ」と叫ぶ数百人規模の行進は、二、三万人規模に膨れ上がり、警察当局も制御できなくなった


 群衆の一部は日系の商店などを次々に襲った。「同じ中国人じゃないの」と泣きながら懇願した日本料理店経営者の女性の話が胸を打つ。暴徒化した多くは、就職先のない若者などヒン困層の人々だという


 中国では、デモや集会は当局への事前申請が必要で、民主化要求などは許可されない。後からデモに合流した若者たちは、政府に対する不満のはけ口として、「反日」に便乗した面があるのだろう


 <複雑な問題に単純な答えはありえない>。そう語ったのは米国のカーター元大統領だ。尖閣問題で見せた強権的な態度も、内部に抱えた大きな矛盾を隠すためと考えるなら、納得はできないが理解はできる


 日本を抜いて世界二位の経済大国になろうとする隣国と、付き合いをやめることはできない。厄介なことではあるが、対等で良好な関係を築くには、双方が感情的な反発を抑える努力を続けるしかない。


 中日春秋 2010年10月19日筆洗

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