スリランカの東海岸にあるヤーラ国立公園のサファリパークは、大自然の中に生きる象やヒョウ、水牛などの野生動物を車の中から観察できることで人気がある


 二十二万人を超える津波のシ者を出した二〇〇四年十二月のスマトラ沖地震の時は、震源地から約二千キロ離れていたために揺れはなく、突然、大津波が公園に襲ってきた


 日本人の観光客十数人を含む多くの人が犠牲になったが、鎖でつながれていた動物以外はシななかった。津波の一時間半ほど前から、象が安全な森の奥をめがけて走り、他の動物も追い掛けたためだという


 公園の管理官から聞いたこのエピソードを自著『防災格言 いのちを守る百の戒め』で紹介しているのは、防災アドバイザーの山村武彦さん。世界の災害現場百二十カ所以上を調査してきた人だ


 「自分だけは大丈夫」「災害など自分には無縁」という根拠のない安全神話の鎖につながれた人間は、予知本能を自ら退化させていると山村さん。それ故、「災害や事故はいつでも起き得るという心の準備だけはいつも怠ってはならないのだ」と


 <天災は忘れたころにやってくる>というが、怖い地震のことは「忘れたい」という心理が働くのかもしれない。世界有数の地震列島に住む以上、巨大地震が起きる宿命からは逃れられない。きょうは防災の日。あらためて心の準備を整えたい。


 筆洗 2010年9月1日

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