過日、発表されたサラリーマン川柳二位の作品は<「先を読め!」 言った先輩 リストラに>だった


 無論、先、即(すなわ)ち未来をご存じなのは神だけだが、それを想像する力を持っている動物も人間だけとか。この先どうなるかと、常に気をもむのは私たちの宿命である


 最近、景気回復の兆しを思わせる指標も多く、やれやれと思っていたら、また株安だ。直接原因はともかく、日本経済のこうした不安定さの根本問題は外需依存体質にある。裏返せば、内需のひ弱さ


 では、なぜ日本人は財布のひもを締め続けるのか。言わずもがな、将来が不安だからだ。ある調査では大学生の65%が「日本の将来に夢や希望を持てない」。内閣府の調査では今後生活が「よくなる」と考えている人は6・6%しかいない。この不安を和らげないではどんな手を打っても焼け石に水だ


 一足飛びに「明るい未来」が来ないのはみな承知している。今、政治に必要なのは予想される困難も痛みも示した上で、それを乗り越えればこんな希望が見えてくるはずだ-というデザイン、行程表を掲げることだろう


 だが、歴史的選挙で生まれたはずの現政権も、“先”の選挙を気にするばかりでそれを示せていない。<先を読め 読めるわけない 先がない>とは、やはりサラリーマン川柳六位の作。こんな状況に無策な政権にこそ先はないだろう。


 中日春秋 2010年5月27日筆洗

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