
紳士のような容貌ながら変人だと言われる警視庁の刑事・五十嵐。
単独でヤクザの岩田組の事務所を訪れ、組長代行を名乗る美貌の男・奥泉と対峙する。
単独でヤクザの岩田組の事務所を訪れ、組長代行を名乗る美貌の男・奥泉と対峙する。
女性的な艶かしさを漂わせつつも、冷ややかな瞳で警察に一歩も引かない度量を見せる奥泉に、五十嵐は惹かれていく。そんな折、岩田組組長が何者かに暗殺! 容疑者は、奥泉――!?
逃亡する奥泉を、捜索する五十嵐だが!?
誘い込んで身も心も喰らい尽くす蜘蛛のような執着愛――変わり者の刑事×美貌のヤクザのスリリングLOVE! !
実に水原さんらしいお話しだった。
読んでる間息苦しかったよ、すごい閉塞感。
私は、世の中で何が一番嫌いかと問われたら迷いなく「蜘蛛」と答える。
まあ、私が絶対ダメなのは「アシダカグモ」でこれに遭遇したら
逃げることしかできないけど、それ以外はなんとか網で掬って
庭に逃がすくらいのことはできる。
女郎蜘蛛は戸外に巣を張るから近づかなければいいだけだし、
まあ、見てるだけならオッケー。
が、この主人公の一人、刑事の五十嵐は、女郎蜘蛛を飼ってる。
餌がベーコンなんて知らなかったよ、塩分取りすぎじゃないか?
水原さんの作品って、蜘蛛だのヘビだの出てくると、
わりと面白いんだよね。
ダークな部分がより強調されるというか。
そして、五十嵐のターゲットは美貌の組長代行、奥泉。
これだけで、大体想像はつくけど、今回は刑事の五十嵐が
自分に正直な悪党で、やることはSなのに精神的にはMという
複雑な性格の持ち主、まあ、蜘蛛飼ってるし。
これに比べれば、奥泉君が可愛く見える。
水原さん自身が「悪党同士のカップル」と書いてたけど
奥泉君はやくざなだけで、積極的な悪党じゃないと思うが。
まあ、五十嵐に惚れられたのが運の尽きというか…
ラストはアンハッピーだけは勘弁して~と思ったけど
なんとか許容範囲だし、途中休まずに読めた。
ただ、気になるのは五十嵐の相棒の住谷。
今風の若者なんだけど、なんか妙に謎がある。
もしかして続編有なのかなあ。
出れば買う。