花を秘する龍 【和泉桂】 | はすののブログ

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花を秘する龍 ~神獣異聞~ 


ルチルから先に発刊されている、リンク作品「宵待の戯れ」

ちょっとはずれだったもので、これも余り期待はしてなかった。

正直、「佐々さんの絵だから」って理由で買ったんだけど、これが★5つ


自分の容姿を厭い、誰にも愛されていないと思い込んでいる意地っ張りで、

ちょっぴりひねくれ風味の市長の息子 雪花(受)


豪胆で義に厚く、腕っ節も人一倍強く、不思議な体質を持つ旅の商人 戒焔(攻)


他国の侵略により、父市長ら家族を捕らえられた雪花が、

その身と引き換えに戒焔に同行を頼み、龍を守護神にする大国に救済を求める旅をする。



この旅で目的とする大国は、その身をいけにえに捧げれば、何でも1つ願いをかなえるってことで、

雪花はもちろん「死を覚悟した旅」だから、戒焔としては当然気が進まない。

おまけに、意地っ張りでひねくれ風味の雪花の懸命さや、無垢さがドンドン愛しくなってくる。



ラストはもちろん大団円、途中から見えては来るんだけど、私はかえって安心して読めた。

佐々さんのイラストがぴったりで、とにかく雪花が愛らしい。

家族に愛されていないと勝手に思い込んでいたり、素直になれなかったり、生意気だったり

そのくせ世間というものを全く知らなくて、幼子のようだったり……危ういくらいアンバランス。

そしてこのアンバランスさが妙にエロチックだったりする。

佐々さんの絵だから余計にね、妙な色気があるの。



個人的には、雪花のことが大好きなのに、報われなかったお兄ちゃんも可愛くて良い味だしてる。

(いや、実の兄の域は超えてないから微笑ましいのよ。ちょっと単細胞なだけで、愛すべき兄)

この作品はこれから世界観を同じくしたシリーズものとして刊行予定。



キーパーソンとして活躍しそうな女衒の「厳信」も気になるし、

もしかして水壬さんの「ムーンリットシリーズ」のように、

それぞれの国主が、みーーんな男同士のカップルになったりしてね。


中華風ファンタジーってことで、これから本格的に四神獣やら天帝やら神仙やらが

絡んできそうな雰囲気、個人的にはこの世界観大好き。


ルチルとの連動ってのも面白そうだし、次巻が待ち遠しい、期待が持てる作品。