この作家さんの作品を読むのは、これで2冊目。
「専属契約」がかなり良かったので、一応全部読んでみようとは思っているのだけれど
「専属契約」「ラブシック」の他は「私立櫻丘高校シリーズ」しかない。
私は学園物を苦手とするので、105円になるか、よほど読むものがなくなるまでは
手を出さないかも知れない。
「専属契約」はカメラマンと美少女モデルをやる事になってしまった少年のおはなし。
北畠あけ乃さんのイラストがばっちりあってたし、
温度低めで淡々とつづられた文章に風情があってよかったの。
特にエピローグがお気に入りで、読後感もすっごく良かった。
ということで今回の「ラブシック」も大いに期待。
ボーイズバーで働く受君の前に、別れたはずの男が現れるというベタな設定。
独特の淡々とした語り口は心地よくて好きなんだけど、
今回は過去と現在が錯綜していて、ちょっと分かりづらいところがあった。
それから、イラストの「笹上」さん …… はじめて目にしたんだけど、好みの絵。
奈良さんの絵をちょっとソフトにした感じで、美形かけるし、線もしっかりしている。
デッサンもバッチリだし、独特のムードが素敵。
そう、もろに好みなんだけど …… 話の内容と合わない。
だってこれ「大学生×高校生」なんだよ。 見えないジャン!!
学生というより、フリーターのチーマーだよ
こんな睨みの利いた高校生の受君ってそうはいないかも。
まあ、それいうと、高校生がボーイズバーでアルバイトしてていいんかよって話だけど
今回は、登場人物全員金持ちバカボンなので、もともと現実味はない話だから
そのあたりは別に気にしないんだけど ……
問題は、ポイントである、受の姉キャラが魅力的にみえないってこと。
姉弟の関係や、攻め氏の裏切り(?)など、ストーリー上とても重要なポイントが弱かったり、
あるいはちょっと無茶だったりして、結果、全体的に説得力が足りないように思える。
とはいえ、このお方の文章はとても好みで、お話のレベルもなかなかのもの。
この「ラブシック」決してお粗末な作品というわけじゃない。
前回の「専属契約」と比較すると、ちょっと点が辛くなってしまうの。
レーベルもホワイトハートだからまあ、こんなものなのかも。
次回に期待しよう。