旧ビブロスでしか作品を発表していなかったから、いつ出てきてくれるかと待っていた。
ちょっと地味目ではあるけれど、とてもしっかりしたストーリーを書いてくれる。
登場人物は全て大人の男ばかり(年齢はむしろ高めかも)で、どの作品も読み応えあり。
デビューノベルズは「灼熱のブラッディー・マリー」
同級生、リーマンもの 長年にわたる愛憎 共に30代。
一途に受氏を求める傲慢な攻め氏と、臆病さから結婚までして逃げてしまう往生際の悪い受氏。
同級生もの。もちろんしっかりつかまって、最後は結婚式までしてしまう。
オートクチュールの世界を舞台にした「モード・アムール」
一夜限りの男が、新経営陣の一人として現れる再会もの。
これもBLの王道なんだけど、背景の書き込みがしっかりしているから、
読み物として普通に面白い。
「烈日の残影」
ヤメ検弁護士×弁護士を目指す秘書
過去に囚われて少々やさぐれていた弁護士が、押しかけ秘書の受氏と出会ってに立ち直っていく。
受氏の一生懸命さや、けなげさがなんとも可愛い。
「愛しうる限り愛せ」
珍しく年下攻め ちょっとツンデレ受 一押し作品。
亡き義父から相続したバーで働いていた美青年を、バーの継続を条件に愛人として囲ってしまう攻め氏。
しっとりした大人のお話。色々訳ありのエピソードがこれまたいいの。
「水に燃える月」
やくざ×検事 でもいわゆる「やくざもの」とはちょっと違う。
殺人の容疑をかけられたやくざ攻め氏のアリバイを立証できるのは、
検事受氏しかいない。というなんともドラマチックな展開。
なんちゃってな結びをせず、きっちりケリ付けてるのか゜またグッド。
そして新刊「狼は蒼い月を抱く」初めて他社からの刊行、アズノベルズ。
元やくざ×外科医 新薬開発に絡む犯罪に係わってしまった事件もの
相変わらず、ストーリーしっかりしている。
ただ、今回はちょっと書き込みすぎていらないエピソードが多かったかも。
「ん、伏線か?」と深読みしてしまった。
その分二人の心理描写に割いて欲しかった。
それにしても、私はアズ・ノベルズとは徹底的に相性が悪いようで、
このレーベルからのお勧め作品は実は1作もない。
今回も残念ながら高塔作品としては評価が低い、イラストもページごとに微妙に顔が違うし…
もちろん、アズ・ノベルズの全作品を読んでいるわけではないので
もしお勧めがあるなら誰か私に教えてくださいませ。
旧ビブロスの雑誌掲載「サテュロスの蹄」もどこかでノベルズカットしてくれると、
雑誌が処分できるから嬉しいんだけどな。とてもいい作品でした。
ともあれ、活動再会してくれたようでこれからが楽しみな作家さんです。