薄暗く照明を落とされたシックな雰囲気を十分に窺わせるお部屋に、ろうそくの炎だけが明るく輝いています
ろうそくは、白いクロスを掛けられた丸いテーブルの上、小ぶりながらもちゃんとしたホールケーキに立てられていました
ケーキの横には、シャンパンらしき飲み物が満たされた、グラスが二つ

ちょっwwまっwwww

壁の影から、ドリカムの歌が流れてきましたよ
音楽とともに女神様の再登場

「お誕生日、おめでとう」
だって

昨日は泣いちゃいそうだったけどw
これには本当に泣いちゃいましたww
恥ずかしすぎるから、内緒だけど

「早く、入りなよ」

木偶の坊が急かされてますよ

深呼吸を一つ
袖で目元をぬぐって、近づきます

音楽が終わり、次は女神様の生唄です

さっき拭いた頬がまた熱くなっちゃった

もう、立ってられません
ブーツも脱がず、廊下にペタンと座り込んでしまいます
なんとか大きく吸い込んだ息を吐き出し、ろうそくを吹き消しました
強すぎず、消し漏らしのないように、上手く吹けたのは奇跡です

「間に合って、よかった」
灯りがともり、改めて女神様を見ると、満面の笑顔です
してやったり、なんだね
ああ、そうだよ
ここが何処で
今が何時で
自分が誰か
全部わからなくなるくらい、嬉しいよ
女神様の魅力だけだよ、今のクラゲが理解してるのはね

本当に、ありがとう

小テーブルを回り込み、カウンターに並んで腰かけます
乾杯
よく冷えた金色に輝くシャンパンで、からっからっの口と喉に湿り気を与えました
お皿にナイフにフォーク、完璧なご準備です

少しだけ落ち着きを取り戻し聞いてみると、何でもかなり前から計画してたらしく、今日も午後からバタバタとサプライズの準備に余念がなかったそう

「さっきの下着の話、信じた?そんな訳、ないじゃんw」
「大急ぎで仕上げたんだよww」
すっかり信じましたよ
ってか、あの時点で思考はフリーズしてたから、な~んにも考えられなかったんですが、何か?w
もうね、完璧ですよ
ろうそく、48って数字だしww

「大成功ww」
いや、全く大成功ですよ
その明確な証拠に、心臓はバクバクしてるし、手は震えてるし、喉はまたカラカラだもの
恥ずかしいから、これも内緒だけど

「ケーキ食べたら、マッサージするからね、それがプレゼント」
どうぞよろしくお願いします

「だけど、エッチなこと考えたらダメだよ」
はい、今夜は仰るとおり、全部お任せします

「あっ!?それとも明日何かあるのかな?早目に帰る??」
もう、意地悪だな
んなこと出来るわけないじゃまいか

器用に切り分けてもらったケーキをいただきながら、交わした会話は何ともマヌケな受け答えでした
すっかり主導権を放棄し、極上のおもてなしに、酔い痴れるばかり

身に余る幸福に現実感を取り戻しきれずにいる、そんな間も、コーヒー好きのクラゲのために、備え付けのコーヒーメーカーで淹れてくれたり、お風呂にお湯を溜めにいったりと、甲斐甲斐しく動き続けてくれてます

オレンジソースで覆われたケーキは、これもオレンジのムースやカスタードクリーム、チョコのムースを織り込んだ、濃厚なはずなのに、さっぱりとした口当たりで、自然とフォークが進みます
お皿を空にする度に切り分けてもらいながらホールを完食
女神様は八分の一位しか食べてないのに
せっかくのお心尽くしだからね
綺麗に食べきったときの女神様の表情も、心温まるプレゼントになりました

消化を待ってくれているのか、いつもより饒舌な女神様
喜びで舞い上がって、いつもの饒舌に輪がかかってるクラゲ
あったかく、柔らかな手を握りながらお話ししていると、どんどん時間が過ぎていきました

バスルームの隣、二つ並んだ洗面台で仲良く歯磨き
お風呂タイムです
入浴剤で濁ったお湯に浸かりながら、このお湯の温度より、今なら温まったクラゲの心の方が熱いよな、などと、思考は相変わらず壊れてます
女神様が隣の洗面台でお化粧を落とし始めます
透明なガラス越しに、その仕草までを愛しみながら、ぼぉっと眺めていると、ボディタオルを手渡してくれます
「何か見えてるからw」
うはっw
これは、失礼
タオルを掛けて隠します
心に負けないくらい体を温めて、交代
出てきた女神様は、ショートパンツにフレンチスリーブのティーシャツ姿
健康的な色気を振り撒いてました
お約束はしたけれど、実行するのは至難の技だな
我慢できるかしら

テキパキと掛け布団を剥ぎ取り、事前に取り寄せていたらしいバスタオルを二枚使って、即席の施術ベッドを整えてくれました
鞄の中からオイルを詰めたボトルを取り出し、準備完了
俯せでプレゼントトリートメントのスタートです