お店には、いろんな人が出入りする。
小さな町だから、みんなが知り合い、もはや家族に近いようなもの。
小さい頃から、毎日のように顔を合わせ、成長していき、ある人は、レストランのシェフに、
そして、ある人はお肉屋さん。 そして、ある人は、食材の配送。
そんな図式でこの町はなりたっているのだから、ほんとに狭い関係の中で生活していると言う感じ。
今日、登場させるのも、そんな関係の中の一人である、もう年の頃は65歳くらい、
見た目、典型的なイタリアの田舎のおじいちゃん 「アルフィエロ」
まずこのアルフィエロについて、少し話しておいたほうが、この先の話が聞きやすくなるだろう。
この人は、うちのばあちゃんシェフ、ミレッラの昔からの友達らしい。
大のたばこ好きなアルフィエロは、店内禁煙のお店の中で、常に、火をつけていないタバコを
口にくわえている。 おそらく、ないと口に違和感を感じてしまうのだろう。
いつもくわえられてるそのタバコは、いつもシワシワ。
それでも器用に違和感を感じさせずに話しているのだから、もう体の一部と思ったほうが
自然なのかもしれない。
いつも店が終わる頃に現れては、厨房に来て、仕事である鶏や、うさぎの肉をもってきたり、
おみやげと言って、クシャクシャになった紙袋の中から、小さなパンを取り出し、
「シェッフィーノ(僕のこと)、これ食べな^^」 と言ってくれる。
友達であるミレッラは、決まって、あなたもお腹すいてるんでしょ?っと言葉には出さないが、
アルフィエロに、パスタをご馳走している。
そんなパスタを厨房の奥の方で、僕らの掃除の邪魔にならないように、食べている。
時々、うれしすぎたのか、どういう気持ちなのかはわからないが、涙をながしながら
食べていたっていう話を聞いたことがある。
とにかく、恐ろしく個性的なイタリアのじじいだ。
さて、そのアルフィエロ。 昨日もいつものようにやって来た。 もちろんタバコを
くわえている。
特に用があった訳でもないようで、話に来たみたいだ。 それでもミレッラは
パスタを作ってあげるように、パスタ担当のばあちゃん、フィアにいう。
アルフィエロは、いつもすまんね。とお礼をいって、フィアがちゃちゃっと作ったバスタを
食べている。 それを横目に僕は、掃除をしている。
5分後。
食べ終わったアルフィエロ。 何かゴソゴソと探してる。 それに気付いたフィアと僕。
なにやら無くし物があるようなのだけれども、無くすような場所ではない。 厨房ですから。
フィアが何を探してるのかと聞くと。
「タバコがない。」
「え??」
来るとき、僕は確実にシワシワのタバコをくわえているのを見た。 けど、確かにない。
ポケットの中も、床も。 どこを探してもないんです。
フィアが一言。
「食べたんじゃない??」
僕、「えぇぇぇぇぇぇ!!!!?????」
結局、たばこは見つからず、アルフィエロは帰っていった。
その場に残った二人、僕とフィア。 顔を合わせて、3秒後。 大爆笑!!!!
笑い事じゃないのは分かってる。 確実に体に悪すぎる。
ほんとに食べてる現場を見たわけでもないのだけれども、流れから言うと、ほぼ間違いない。
たしかに、今日は、いつもより多く、チーズをかけて食べてたな。。。
おしゃべりなフィアは、店のみんなにその話をしているらしく、
そのあと、店の中、いろんなところで、笑い声が聞こえてくる。 僕も、思い出し笑いを
繰り返しつつ、掃除を終わらせた。
ちなみに一日たった今日も、その話で、店の中は盛り上がっていた。
当人のアルフィエロは、どうなのかと言うと、
今日も変わらず午前中に店に顔を出してた。
それを見たフィアと僕。 二人で、声を合わせ、
「Meno male^^ (よかった^^)」 と言いながら、また大笑いをしたのでした。









