以下は、自作のお話です。
一生懸命働くアリを横目に、
夏の間、遊んで暮らしていたキリギリス。
冬になって、凍えてアリに助けを求めた。
日頃から真面目に取り組むのが大事というお話。
が、今年のキリギリスは、一味違う。
「働くアリさんに向けて、
夏の間、応援歌を歌います！
なので、冬の間は養ってください」
と自らアリに売り込んだのだ。
無事、アリと契約を交わしたキリギリスは、
ひと夏、のびのびと歌い続けることができた。
さて雪が降りそうな寒い日のこと。
キリギリスは契約通り、アリの巣にやってきた。
そろそろ中に入れて欲しいと申し出ると、
アリたちは、キリギリスを暖かく迎え入れた。
…その日から、キリギリスの姿を見た者はいない。
代わりに、去年の一件で、味をしめたアリたちが、
今年も専属で歌ってくれるキリギリスを募集しているという。
冬にキリギリスが来たら、アリにとっちゃ食料案件だよね。