十分な夜の底だのに、空が真っ暗じゃない。
陰になってる屋根の方が暗いだなんて。
完全に電源を落とす直前のiPhoneの画面みたいなグレイ。

夜に何をしてるのかっていったら、
4月にまた御岩神社の山登りを予定しているから、
体力作りに少し長めに歩いている。
昼間は恐ろしいほど暑いので
涼しい夜になんて思うものだから、
もしかしてあまり役に立たないかもしれない。
(人氣の多い道路しか歩きません)

月もない、雲が覆っている空。
音はその雲に吸い込まれているのか、
毛布を被せられたみたいな
純度の低い静けさ。

こんな田舎でも、
大いなるものから覗き込まれているような
漆黒の夜空はなかなか見られない。
人々の神経が完全に休まらないのは
このせいじゃないかとか、ちらり考えてみる。
けれども大抵は、布団に入ったら、
何分もしないうちに眠ってしまうので
考えたことは夢の中に置いてきて
回収しに行かないままだ。
夢の中の地図もないので、
回収しようとしたとしても
難しいではないか。
ああ、もう起きていられない。
増殖する夢の領域に
伊能忠敬は絶望するか、わくわくするか。
地図作りは任せた。
おやすみなさい。