5分でわかる「ブレイクブレイド」の世界 | はばら研ブログ

はばら研ブログ

アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

「ブレイクブレイド」第一章の冒頭で、アテネスの少女クレオは、巨大人型
兵器ゴゥレムを操る。彼女の脳内に浮かぶ光のひとつが神経経路をたどり、
腕の先へ向かってゆく。その手の中の球体が輝くと、ゴゥレムが手にした
銃の内部で構造物が伸縮、弾丸が射出される。

彼女の脳内に浮かんでいるのは、この世界の老若男女だれもが生まれつき
持っている特殊な『力』の源だ。ゴゥレムはハンドルやレバーではなく、
その『力』で操られている。そしてゴゥレムが手にしている銃器もまた
引き金ではなく、機体を中継した搭乗者の『力』によって操作されている。
『魔力』と呼ばれるその力がなければ、ゴゥレムを操ることは不可能である
という事実が、20秒たらずの映像のなかで伝えられている。

ゴゥレムのことだけではない。第一章の冒頭の5分では、魔力や石英、石英
靱帯といった、この作品を観てゆくのに必要な情報のすべてが、映像の流れ
の中で説明されている。靱帯の機構を動きで伝える巨大な装置や、『魔力』
の練習場を兼ねた子ども用の遊び場など、この場面のためだけに用意され
た設定もある。ゴゥレムの種類も、着ている軍服も、あきらかに異なる
二つの勢力が戦争状態にあることも、地中から固形燃料の採れない世界で
あることが言葉で説明される前から、すでに提示されている。

ナレーションが淡々と世界のあらましを語っているあいだも、クレオの
戦いは続いている。今度は彼女が『魔力』でゴゥレムを扱っていることが、
さっきよりも意識できるようになっている。ゴゥレムも、ほかの多くの道具
と同じ石英でつくられていることも、もうわかる。装甲が砕けると、その
中は石の質感だ。

やがて倒れている青年の姿が映される。そのまわりにはハゲタカも飛んで
いる。ここは、トカゲやキツネといった見覚えのある動物がいる世界でも
あるらしい。夢か、あるいは走馬灯か、気絶している彼の幼い日の映像が
闇の中に浮かぶ。

その日、彼は『魔力』がすべてを司る世界で『魔力を持たぬ者』と断定された。
父親がひどく失望している横で、その少年は、手の中できらきらと光る石英
を、好奇心いっぱいの目でみている。自分自身が異端の者であっても、周囲
の思惑がどうであっても、綺麗なものをただ綺麗と感じることのできる心
が、その瞳には宿っている。石英を透かして、その向こうの世界を見よう
とするその少年、ライガットの笑顔とともに「ブレイクブレイド」の幕は上がる。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
キャラクターデザイン 乘田拓茂
メカニックディレクター 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC

劇場版 ブレイク ブレイド 第一章 覚醒ノ刻 [Broken Blade Vol.1] [Bl.../バンダイビジュアル

¥6,300
Amazon.co.jp

ブレイクブレイド【新装版】(1) (メテオCOMICS)/ほるぷ出版

¥600
Amazon.co.jp