「ゲキ・ガンガー3 ~熱血大決戦!!~」が描いたアニメの夢 | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

「ゲキ・ガンガー3 ~熱血大決戦!!~」のラストで、ジュンペイは光の中
からあらわれたゲキ・ガンガー3とゲキ・ガンガーVの勇姿に、おおよろこび
する。ダブルゲキガンもジュンペイも、「ゲッターロボ」などで活躍されて
いた野田卓雄さんの原画だ。全身で嬉しがるジュンペイの姿が、エンディング
主題歌の直前まで高まっていた不安を一気にはじき飛ばしてくれた。

OVA版「熱血大決戦!!」のアニメーションはTVシリーズのそれとは
すこしちがう。もちろん70年代のにおいは変わらずあるし、吉松孝博さん
の描くジョーとアキラは、TV版での濃さが劇場対応にグレードアップされ
ている。神を名乗る謎の存在にショックを受けるふたりのその顔が、むしろ
ショッキングだ。そしてそれが、突如あらわれた敵の恐ろしさを体感させる
説得力にもなっていた。70年代のにおいが再現されていること自体に大きな
意味があったTVシリーズとはちがい、「熱血大決戦!!」では描き手の
それぞれの持ち味が、物語の感動と一致するようなつくりになっていた。

本橋秀之さんの画はTVのときとはモードがちがう「六神合体 ゴッドマーズ」
のように整った造形だった。悲しさをこらえて笑ってみせるアキラの表情
は、ケンが倒れたあとのゲキガンチームやナナコの心を代弁していた。
越智一裕さんが作画した超熱血クラッカーは、ケンが完全復活したことを
そのダイナミックな動きで証明していた。佐藤千春さんの描くダブル・
ゲキガン・スパークには、80年代まで突き抜けるような金田伊功さんの息吹
が宿っていた。岡辰也さんが作画した、派手に吹き飛ぶ新幹線には映画
「UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー」のイメージがある。
そういえば、ラストでゲキ・ガンガーVとグレートアカラロボのなかで
ケンたちが交わすやりとりは、「マジンガーZ対デビルマン」のラストでの
甲児とデビルマンの会話にどこか似ていた。

「ゾイド-ZOIDS-」のキャラクターデザインを担当する以前の坂崎忠さんの
描いた、キャランがうしろから斬られるレイアウトも、切れ味があった。
若者なのにむかしのノリを心得た画に、羽原さんが驚くぐらいだった。
その羽原さんの描いたVとリクガンガー、グレートアカラロボのそろい踏み
のカットは、むかしのアニメのようにほとんどカゲがついていなかった。
演出も担当した羽原さんは、レイアウトで画面作りの方向を示すことで、
若手アニメーターがそれぞれの個性を載せられる素地をつくっている。
そしてこのOVA版の作画スタッフの選出も、プロデューサーとしてこの
作品に参加している羽原さんの仕事だった。

70年代ロボットアニメの送り手と、それを観ていた世代のアニメーター、
さらに若い世代のアニメーターたちがそれぞれに腕をふるうことが出来る
夢のような現場が、「ゲキガンガー3 ~熱血大決戦!!~」にはある。

■「ゲキ・ガンガー3 ~熱血大決戦!!~」メインスタッフ■

プロデューサー 高橋豊(MOVIC)、羽原信義(XEBEC)
監督 羽原信義
キャラクター設計 近衛真守
脚本 小黒祐一郎
オリジナル構成 佐藤竜雄、會川 昇、近衛真守、スタジオ雄
美術デザイン 小山俊久
色彩設定 上谷秀夫
カラーコーディネーター 関本美津子
効果 伊藤道廣
作画監督・動画 近衛真守
演出 はばらのぶよし

原画 小松原一男、荒木伸吾、金田伊功、姫野美智、黄瀬和哉、
キクチミチタカ、St.ジャイアンツ、円谷プロダクション、野田卓雄、
本橋秀之、越智一裕、佐藤千春、吉松孝博、岡辰也、坂崎忠、藤田竜司、
中野剛、塚本あゆみ、羽原信義

製作 キングレコード、MOVIC、XEBEC、ING

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