「熱血ロボ ゲキ・ガンガー3」のふたつの宝石 | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

「熱血ロボ ゲキ・ガンガー3」第33話「聖少女アクアマリンの微笑み」では
アクアマリンの姉ドルガーが画面に向かって指を突きつける。真正面から
とらえた独特な構図は、70年代、アニメーターの荒木伸吾さんが得意として
いたものだ。この構図は、79年の「アニメージュ」7月号で荒木さんの特集
が組まれたときも「得意のアングル」と紹介されていた。ちなみにドルガー
がこのポーズをとるのは、設定のスタジオ雄さんからのリクエストであった
という。

1975年、荒木伸吾さんは「UFOロボ グレンダイザー」で、当時は劇画
タッチの絵柄が主流だったロボットアニメの世界に、少女漫画の香りのする
絵柄を持ち込んだ。荒木さんがデザインしたマリアには、メインヒロイン
のひかるとは、ひと味ちがう愛らしさがあった。また荒木さんの担当回は、
その絵柄によく似合う、美しい女性ゲストが悲しい運命を迎えるエピソード
が多かった。77年の「惑星ロボ ダンガードA」では、荒木さんは松本零士
キャラをたおやかな線でアニメ化。後半より登場したライバルキャラ、
トニー・ハーケンが、とにかく美形だった。

羽原さんが作画を担当した「ゲキ・ガンガー3」第33話は、70年代当時の
荒木伸吾さん、そして姫野美智さんが作画していたロボットアニメを意識
したエピソードだ。アクアマリンの髪の毛は、そよ風に揺られているよう
にやわらかく、それでいて毛先は絵筆のようにひき締まっている。肌はまるで
陶磁器のようにつるりとして、美しい。ケンの目も、いつもとは異なる
かたちと光りかただ。さらには設定画にはない、上唇も描かれていた。
カレーを食べながら無骨なことを言う笑顔も、なんだかいつもよりキラキラ
していた。ドルガーの目の下に入った線といい「荒木キャラ」としてイメージ
される特徴がみごとに再現されていた。

OVA「熱血大決戦!!」では、TV版総集編の新作パートで、荒木伸吾さん
と姫野美智さんが作画に参加している。OVA化にあたって、羽原さんは荒木
さんのところへ直接、原画をお願いにいったという。
画面の中にいる人物の顔かたちは、少女漫画的だったあの頃よりも、立体的
で、全体的にすこし大人びた雰囲気がある。70年代以降、数々の作品を経て
当時も現役でキャラクターデザインや作画監督をしていた荒木さんと姫野さん
のおふたりの最先端の絵柄だった。

それでも、女性ゲスト・サファイヤの、ほかの「ゲキ・ガンガー」キャラにはない
筆ペンで丹念に描き出したような髪の毛のツヤには、当時と変わらない華やか
さがあった。運命に苦悩するサファイヤの表情には、荒木さんと姫野さんで
なければ出せないせつなさが確かにあった。

■「ゲキ・ガンガー3 ~熱血大決戦!!~」メインスタッフ■

プロデューサー 高橋豊(MOVIC)、羽原信義(XEBEC)
監督 羽原信義
キャラクター設計 近衛真守
脚本 小黒祐一郎
オリジナル構成 佐藤竜雄、會川 昇、近衛真守、スタジオ雄
美術デザイン 小山俊久
色彩設定 上谷秀夫
カラーコーディネーター 関本美津子
効果 伊藤道廣
作画監督・動画 近衛真守
演出 はばらのぶよし

原画 小松原一男、荒木伸吾、金田伊功、姫野美智、黄瀬和哉、
キクチミチタカ、St.ジャイアンツ、円谷プロダクション、野田卓雄、
本橋秀之、越智一裕、佐藤千春、吉松孝博、岡辰也、坂崎忠、藤田竜司、
中野剛、塚本あゆみ、羽原信義

製作 キングレコード、MOVIC、XEBEC、ING

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