あらすじ

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。そこに現れたのは、長期休暇中の刑事 加賀恭一郎。私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。


ひと言
東野圭吾作品の中でも大好きな加賀恭一郎シリーズ。22までを読み終えて、見つかっていない2本のナイフを共犯者が家のどこかに隠したというのは警察が調べればすぐにわかることで少し無理があるように思いましたが、23でどんでん返し。またこの作品も映画化されることになると思いますが、山之内静枝は誰が演じるのかが気になりました。久しぶりの加賀恭一郎おもしろかったです。ネタバレになるので加賀恭一郎の推理の一部を以下に記載します。

 



わかりました、といって加賀がポケットから手帳を取り出した。「じつは疑問点を自分なりにまとめてあります。それを書きますから、皆さんの御意見を伺いたいと思います」そういってホワイトボードに向かい、ペンを手にした。達筆とはいえないが、大きさの揃った文字で書かれたのは次のようなものだった。
『1.なぜ犯人は遠く離れた別荘地を犯行現場に選んだのか。
2.なぜ栗原夫妻が車庫にいることがわかったのか。
3.なゼ犯人は、高塚桂子さんが屋内で一人きりだとわったのか。
4.逮されるつもりなのに一部の防犯カメラを無効化したのはなぜか。
5.高塚桂子さん段害、的場雅也さん刺傷に用いたナイフはどこに消えたのか。
6.高塚桂子さんの手にあった紙片は何か。元の紙は誰が持ち去ったのか。』……。

「単に疑問点を整理しただけでなく、もし何らかの推理なり考えなりをお持ちならば、とうかお聞かせくださいませんか」「俺の、ですか?」……。
「わかりました。ではお話しします。ここに書いた1から5までの疑問については、たった一つの解答を用意することですべて説明がつきます。その解答とは、久納さんが疑っておられることをさらに進めたものです。つまり――」加賀は一同を見回してから徐に続けた。「何者かにそそのかされて桧川大志が犯行に及んだだけではなく、その何者かはもっと積面的に犯行に加担した可能性がある、ひと言でいえば共犯者だった疑いが極めて濃い、というのが俺の推理です。1の疑問、なぜ犯人は遠く離れた別荘地を犯行現場に選んだのか。答え、共犯者から指示されたから。2と3の疑問、なぜ犯人には栗原夫妻が車庫にいることがわかったのか。なぜ高塚桂子さんが屋内で一人きりだとわかったのか。答え、共犯者から教えられたから。4の疑問、逮捕されるつもりなのに一部の防犯カメラを無効化したのはなぜか。答え、共犯者の姿が映るのを防ぐため。5の疑問、高塚桂子さん殺害、的場雅也さん刺傷に用いたナイフはどこに消えたのか。答え、共犯者が処分した。そして6の疑問にも答えられるかもしれません。紙片を持ち去ったのは共犯者、ただし元の紙が何だったのかは不明」以上です、といって加賀は締めくくり、皆の反応を窺うように彫りの深い顔をゆっくりと巡らせた。
(17)