あらすじ
この人を好きになってよかった――140字で綴られる、出会いと別れ、そして再会。
(以下、本文『別れの挨拶』引用)「またね」それが彼とお決まりの挨拶だった。また次の機会にね、そんな意味を込めて。互いに進路が変わっても、恋人ができても、いつだって次があると思ってた。でも。「ずっと好きでした」「ごめん、俺結婚するんだ」一歩踏み出そうとした日、彼との距離を誤って。その日最後の挨拶は「さようなら」


ひと言
今流行りの140字小説。 Twitterの文字数制限である140字以内で完結する超短編小説のことで、一度読んでみようと万城目 学さんと一緒に図書館で借りました。「#140字小説」で検索すると、多くの作品に出会えるとのことですが、結構面白く、はまりそうです。

元カノのSNS
別れて時間が経ったのに、どうしてか君のSNSを開いて見てしまう。元気でいるだろうか。新しい恋人ができていてもショックだし、一人思い悩んでいそうでも心配だ。どっちにしたって見なきやいいものなのに。「もう、俺とは何も関係ないのにな」一人そう呟く。本当は俺の隣で幸せになってほしかったのに。

三月十四日
「……付き合ってほしい」三月十四日に告白された。バレンタインのお返しかと思ったけどどうやら違うみたい。数年後には同じ日にプロポーズされた。どうしてもその日に拘(こだわ)りがあるようで気になった。「なんで三月十四日?」口下手な貴方は恥ずかしそうに言う。「円周率……」「へ?」「円周率に終わりはないから」

それは好きの証(タグ)
今日は君との初デート。この日の為に服も新調して気合いは十分、のはずだったのに……。待ち合わせ場所に着いて、服のタグを切り忘れていることに気づいた。「終わったな……」そんな俺に気づいた君は笑顔で近づいてきて、すぐタグに気づいて、言った。「今日の為に新しい服買ってくれたなんて嬉しいなあ」