あらすじ

高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。

ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編

 

 

ひと言

最近は老眼が進んできて、小さい文字がほんとうに見えない、見えにくくなってきて読書のペースがとても遅くなった。この本もかなり前に読み終えていたのだが、心に残るフレーズがほとんどなくこのブログを書くのが遅くなってしまいました。

 

「もし奈々美が栞をばら撒いているなら、ひっぱたいてでも止めないといけない。それが、ここまで来た理由」「なぜ止めるんですか」「むしろ訊きたい。なんでこんなことをしてるの?」問われ、和泉乃々花は手を広げた。ランタンの明かりに照らされ、傷んだ壁に大きく影が映る。「だって、とてもすてきな考えじゃないですか。一人一枚、切り札を持つ。何があっても、誰にどんなことをされても、お前が生きていられるのはわたしが生かしてやっているからなんだと思うため、どんなに弱いわたしたちにも、切り札を。そしてお姉ちゃんは実際、幸せになった」和泉乃々花は、ふと真顔になって、瀬野さんを見つめた。「わたし、先輩を尊敬しています。すばらしい方法だと思う」瀬野さんが組んだ腕に、わずかに力がこもる。「だから、あなたが引き継いだって言いたいの?」「そうです」「学校に花壇を作ったのは? わたしたち、そんなことはしなかった」苦心の工夫に気づいてもらえた子供のように、和泉乃々花ははにかんだ。「ささやかなアレンジです。トリカブトの栞が弱いわたしたちの切り札になるのなら、それがいつも近くに咲いている環境こそ、誰も虐げられない場所なんじゃないかって。世界に花を、つて感じですね」 思い入れたっぷりの言い草だったが、瀬野さんはさして感銘を受けた様子もなく、別のことを訊いた。「それで、栞は何枚配っだの」話に乗っでこなかったことに失望したのか、和泉乃々花は表情に不満を漂わせる。「それは内緒です。いえ……先輩になら、話してもいいですね。十一枚です。もっと作りたかったんですが、花が咲いたのがそれだけで」「……そのうち、使われたのは何枚?」
和泉乃々花の口許に、笑みが戻る。「さあ。一枚ではないですね」もう、誰か死んでいたのか。遅かったのか。

(第四章 栞と嘘)