あらすじ
暴言を吐く、支配したがる、けなして自信を失わせる、優しいようで水面下で工作している、一見目立たない人を含めて、あなたの周りにはとんでもない人が隠れているかもしれない。本書では、精神科医として「ターゲット」にされて、痛い目に遭った患者たちから聞いた、人を陥れる「攻撃欲の強い人」を事例で紹介。ターゲットの心をどんなふうに壊していくのか、その手法を取り上げて分析する。「攻撃欲の強い人」とはどんな人か。多くの場合、攻撃される側は、ターゲットが抵抗できないが、それは一体なぜなのか。何のためにそんなことをするのか。結果どんな影響を及ぼすのか。はたして、攻撃欲の強い人と、どう向き合い対処すべきか。本書で明らかにする。自分のために、人生を台無しにされないために――職場や家族に潜む「害になる人」の精神構造を知る!


ひと言
読んでいて「こういう人いるよね」と同調はするけど、ちょっと抽象的で具体性に欠けているように感じました。

大人になってから気づいたのですが、母は、実家の母、私の祖母から批判されることを恐れていたようです。祖母は、女の子は女の子らしくという古風な人だったので。母は、祖母の前で嫌な思いをしたくなかったからこそ、時代遅れの服を着せて、私に嫌な思いをさせたのです。花柄のワンピースなんて古くさい服、私は大嫌いだったのに。母は、祖母に何か言われて自分が困るのが嫌だったからこそ、私を困らせるようなことをしたのです」この女性が見ぬいているように、攻撃欲の強い人が他人の領域に無遠慮に入り込むのは、自分自身が混乱したり、当惑したりすることを避けたいためであることが多い。不安や葛藤を少しでも感じると、どうすればいいのか、わからなくなる、つまりストレス耐性が低いからこそ、このような厄介な情動を避けるために、自分より「弱い」人間の領域に侵入するわけである。こうしたストレス耐性の低さは、しばしば先に指摘した自己愛の傷つきやすさに由来する。
「弱い」相手は、自分自身の分身もしくは延長にすぎないと思っている場合もあれば、自分と同じだけの価値はないと思っている場合もあるようだが、いずれにせよ、その相手にも侵入されたくない領域があることに気づいていない。当然、尊重など論外であり、ズカズカと土足で入り込むのである。
(第4章 どうしてこんなことをするのか)