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あらすじ
10万人の子供たちが涙した。そして、変わった…。沖縄を拠点に、アジアの貧困地域に暮らす子供たちの支援活動を命がけで続けている著者が物質的な豊かさの中で、「本当に大切なもの」を見失ってしまった日本の子供たち・親たちへ真摯に訴えるメッセージ。いま子供に読ませたい本No.1です!

 

ひと言
「見てしまったから。知ってしまったから。」何のためにそのような活動をしているのか?と聞かれたときの、池間さんの答えです。
書店員が売りたい本ではなく、書店員が読ませたい本が本屋大賞になって、こういう本が本屋大賞に選ばれたら…。この本のことを知らない子どもたちや大人たちがこの本を手にすることができるのにと思いました。

 

 

 

 貧しい国の都会に行くと、親のいない子どもたちがシンナーを吸う姿によく出会います。なぜシンナーを吸うかというと、その意味は日本とはまったく違います。快楽を得るためでも、覚醒状態を味わうためでもありません。彼らにとってシンナーは「一番安い食事」。ご飯の代わりなのです。
……。……。
飯を食べるにはお金が足りないけれど、シンナーならばビン一本五円ぐらいで売っています。五円なら彼らにも買える値段です。シンナーを吸うと神経が麻卑して感覚がおかしくなります。お腹の中に何も入ってなくても、空腹感に襲われない。だから、ご飯の代わりにシンナーで空腹をしのごうとするのです。
シンナーを吸うと、まず歯が抜けてボロボロになって、やがて脳が侵されて死んでいきます。周りにそんな人たちがたくさんいるから、この子たちはよくわかっています。でも、ひもじくて苦しくてたまらないから、シンナーを吸ってしまう。これも大変な悲劇です。ご飯が食べられないというのは、こんなにつらいことなのです。
(第二章 親のために売られていく娘たち)

 

 

 

 ボランティアには大事なことが三つあります。そのことをよくわかってほしいと思います。
 一つ目は、「理解する」ということです。わかる、知るということがとても大切なボランティアになります。貧しさが原因で毎日四万人以上の人たちが死んでいく。一年間では一千五百万人が死んでしまう。そのほとんどはなんの罪もない子どもたちです。それをよくわかってください。
 二つ目は、「少しだけ分けてください」ということ。一〇〇パーセントの愛はいりません。一パーセント、いや、〇・一パーセントだけでいいのです。私は餓死した赤ちゃんを抱いたことがあります。一リットルのペットボトルぐらいの大きさになって死んでいました。せっかく生まれてきたのに、すぐに死んでしまったのです。なぜかと言えば、お母さんがご飯を食べていないから、栄養不良でおっぱいが出なかったのです。ミルクを買えばいいと思うかもしれません。一か月で三百円もあればそれも可能でした。でも、それっぽっちのお金もなかったのです。だから、赤ちゃんは死んでしまったのです。
ベトナムではマラリアで死ぬ子がいました。四十度ぐらいの高熱で死んでいきます。薬は百二十円で買えるのに、それが買えない。私のカンボジアの友達は、百円の靴が買えなくて、割れたビンを裸足で踏んでしまって死にました。
私たちにとっては小さなお金でも、それがないために死んでいく命がいっぱいあります。それをよくわかっていただきたいと思います。百円がなくて死んでいく人々がたくさんいるのです。私たちがこのような問題にちょっと心を向けるだけでも、間違いなく多くの命が助かります。優しい心をほんの少しだけでいいから、一生懸命生きようとしている子どもたちに分けていただきたいと思います。
 三つ目は私が最も伝えたいこと。それは、一番大事なボランティアとは、誰かのためとか、人のためとか、世の中のため、社会のために何かをすることではない、ということです。一番大事なボランティアは、自分自身がまず一生懸命に生きること。私はそう思います。
子どもたちの話をして、映像を見せて、かわいそうだから助けてちょうだいと言っているのではないのです。誤解しないでください。そういうことではありません。私が言いたいのは、あの子どもたちは、たとえマンホールの中に暮らそうが、ゴミ捨て場の中で暮らそうが、一生懸命生きているということです。どんな状況であろうとも必死になって生きている。だから大事にしたいと言っているだけなのです。
ありあまるほどの食べ物がある恵まれた環境の中で暮らしている私たちですが、そうした豊かさが私たちに「命の尊さ」や「生きることの大切さ」を見失わせているのではないかと感じています。だからこそ、日本中の子どもたちがアジアの貧しい子どもだちから真剣に生きる大切さを学んでほしい、そして一生懸命生きることの大切さに気づいてほしいと思っているのです。
だから、一番大事なボランティアは自分自身が一生懸命に生きることなのです。一生懸命生きる人じゃないと、本当の命の尊さはわかりません。真剣に生きる人じゃないと、人の痛みや悲しみは伝わってこないと思うのです。
誰かのため、人のためではなく、自分自身が懸命に生きる。それが私たちにできる一番大事なボランティアなのです。

 

 

理解すること、少しだけ分けていただくこと、そして自分自身が一生懸命生きること。この三つのことを心からお願いしたいと思います。
(エピローグ)