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あらすじ
和睦が崩れ、信長に攻められる大坂本願寺。毛利は海路からの支援を乞われるが、成否は「海賊王」と呼ばれた村上武吉の帰趨にかかっていた。折しも、娘の景(きょう)は上乗りで難波へむかう。家の存続を占って寝返りも辞さない緊張の続くなか、度肝を抜く戦いの幕が切って落とされる! 第一次木津川合戦の史実に基づく一大巨篇。
(2014年 本屋大賞1位)

 

ひと言
とてもおもしろかった2009年本屋大賞第2位の「のぼうの城」、今年2014年の本屋大賞(第1位)だし、第一次木津川合戦が題材。
木津川合戦って、本願寺の海上封鎖をしていた織田水軍が、毛利・村上水軍の焙烙玉(中に火がくすぶっており、目標に当たると中身が出て一気に燃え広がる武器)焙烙火矢の前に大敗し、本願寺への補給を許してしまう。信長は、九鬼嘉隆に命じて、大筒・大鉄砲を装備し、焙烙火矢が効かない鉄甲船6隻を造り、毛利・村上水軍を撃退し本願寺を孤立、降伏に追い込んだやつだよな。
その村上水軍の娘に焦点をあてて小説を書くなんて、さすが和田 竜さん目のつけどころがいいなぁ。どんな作品なんだろう。とにかく第一次木津川合戦だから勝つんだよな。とわくわくしながら読んだ。
でも、んっ、上巻がなかなか読み進まない。上巻の終わりから下巻にかけてはおもしろくなってくるのだが、読了後は少し消化不良気味。
こちらの期待が大きすぎたのかもしれないが、この内容は上下巻にする必要はないように思う。
全国書店員が選ぶいちばん!売りたい本が本屋大賞なのだから上下2巻3200円の本は売りたい本第1位なのかもしれないが、本屋大賞が、全国書店員が選ぶいちばん!読ませたい本になってほしいと思った。

 

 

 

「瀬戸内を出たとき、あいつらは極楽往生がすでに決まっていると信じていた。それでも、弥陀の御恩に報いるために、行かぬでもいい戦に行って命を捧げたんだ。戦場では退けば地獄だと脅され、話が違うと知っても、あいつらは仏の恩義を忘れようとはしなかった。オレは見事だと思った。立派だと思った。オレはそういう立派な奴らを助けてやりたい。オレはあいつらのために戦ってやりたい」話すうち、大きな瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。それでも景は構わず、顔中を涙で濡らしてあえぐように訴えた。「戦に出るに値しなかろうが、たとえ門徒どもに撥ね付けられようが、オレはあいつらのために戦うんだ」
……。
兵には疑問もある。可愛い娘を戦場にやって、百戦練磨の父親が行かなくていいのか。「御屋形様はお発ちになりませぬので」難ずるように訊くと、「わしなど、いるかよ」武吉は笑った。恐るべき秘術の名をもう隠そうともしない。「三十年ぶりに鬼手がでるのだ」「へ?」首を傾げる兵に、武吉は言い放った。「我が娘が戦に赴けば、当方の勝利疑いなし」(66)