あらすじ
北海道の港町で母と二人で暮らす紗枝。家の庭には、亡き父がある願いを込めて植えたハナミズキが育っていた。自身の夢のため東京の大学に進んだ紗枝と、故郷に残り漁師になった恋人の康平。互いを思いながらも、二人は少しずつすれ違っていく。それから十年。故郷のハナミズキが咲く頃、離れ離れだった二人に奇跡が訪れる…。珠玉の恋愛小説。
北海道の港町で母と二人で暮らす紗枝。家の庭には、亡き父がある願いを込めて植えたハナミズキが育っていた。自身の夢のため東京の大学に進んだ紗枝と、故郷に残り漁師になった恋人の康平。互いを思いながらも、二人は少しずつすれ違っていく。それから十年。故郷のハナミズキが咲く頃、離れ離れだった二人に奇跡が訪れる…。珠玉の恋愛小説。
ひと言
数年前に、新垣結衣・生田斗真主演の映画を先に見たが、とてもいい映画だったので図書館でこの本を見つけたとき、吉田紀子さんの原作本を読みたくて借りた。
一青窃さんの「ハナミズキ」は2001年のニューヨークの9.11のテロの時、客船タイタニックの水難事故やノアの箱舟を連想して作詞したということや、日米両国間の友好を祈り1912年(明治45年)に日本からはアメリカの首都ワシントンに「桜の苗木」が贈られ、その返礼として1915年(大正4年)にアメリカから「ハナミズキ」が東京に贈られたということ。他にもいろいろな解釈をする方もみえるが、この一青窃さんの「ハナミズキ」の歌詞については純粋に泣けるほど素敵な歌詞だと思う。もう一度、レンタルDVDで映画を観てみようと思った。
数年前に、新垣結衣・生田斗真主演の映画を先に見たが、とてもいい映画だったので図書館でこの本を見つけたとき、吉田紀子さんの原作本を読みたくて借りた。
一青窃さんの「ハナミズキ」は2001年のニューヨークの9.11のテロの時、客船タイタニックの水難事故やノアの箱舟を連想して作詞したということや、日米両国間の友好を祈り1912年(明治45年)に日本からはアメリカの首都ワシントンに「桜の苗木」が贈られ、その返礼として1915年(大正4年)にアメリカから「ハナミズキ」が東京に贈られたということ。他にもいろいろな解釈をする方もみえるが、この一青窃さんの「ハナミズキ」の歌詞については純粋に泣けるほど素敵な歌詞だと思う。もう一度、レンタルDVDで映画を観てみようと思った。
ハナミズキ 作詞/一青窃 作曲/マシコタツロウ
空を押し上げて
手を伸ばす君 五月のこと
どうか来てほしい
水際まで来てほしい
つぼみをあげよう
庭のハナミズキ
手を伸ばす君 五月のこと
どうか来てほしい
水際まで来てほしい
つぼみをあげよう
庭のハナミズキ
薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年続きますように
果てない夢がちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年続きますように
夏は暑すぎて
僕から気持ちは重すぎて
一緒に渡るには
きっと船が沈んじゃう
どうぞゆきなさい
お先にゆきなさい
僕から気持ちは重すぎて
一緒に渡るには
きっと船が沈んじゃう
どうぞゆきなさい
お先にゆきなさい
僕の我慢がいつか実を結び
果てない波がちゃんと止まりますように
君と好きな人が百年続きますように
果てない波がちゃんと止まりますように
君と好きな人が百年続きますように
ひらり蝶々を
追いかけて白い帆を揚げて
母の日になれば
ミズキの葉、贈って下さい
待たなくてもいいよ
知らなくてもいいよ
追いかけて白い帆を揚げて
母の日になれば
ミズキの葉、贈って下さい
待たなくてもいいよ
知らなくてもいいよ
薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年続きますように
果てない夢がちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年続きますように
僕の我慢がいつか実を結び
果てない波がちゃんと止まりますように
君と好きな人が百年続きますように
果てない波がちゃんと止まりますように
君と好きな人が百年続きますように
君と好きな人が百年続きますように
その時、一陣の風が吹き抜けた。重く湿った風だった。風はハナミズキを揺らし、花びらをふわっと、空高く舞いあげた。その花びらが紗枝にふりかかる。肩を花びらにぽんと叩かれて、紗技は振り返った。ハナミズキに呼び止められたかのようだった。花びらは次々に舞い下り、紗枝の体に絡みつくように風に舞ったかと思うと、ぱっと闇の中に消えていった。ひらひらと舞う花びらの向こうで、いつの間にかトラックから降りた康平が、紗枝に向かって駆けだしてくるのが見えた。紗枝もその瞬間、彼に向かって駆けだしていた。ぶつかるほどの勢いで二人は固く抱き合った。自分たち以外のことは脳裏から全て消え去っていた。互いの腕の中の存在だけが全てだった。康平は紗枝の肩に顔を埋める。紗枝も康平の肩に頭をもたせた。二人は互いの腕の中にぴったりと収まっていた。(ハナミズキ 2001)
二人の間にハナミズキの花びらがはらはらと散った。康平は呪縛から解かれたように動き出すと、持っていた鞄の中から模型の船を取りだした。カナダのパブに置いてあった康平丸だった。「……これ。これ書いたの……紗枝?」康平は紗枝に向かって康平丸の旗を指し示す。「ガンバレ紗枝」という康平の文字の裏側には、以前にはなかった文字があった。「ありがとう」紗枝の字だった。海を越え時間を越えて紗枝の思いが康平に届いたことが嬉しくて紗枝は笑った。そして、笑顔のままで、康平に向かって小さく頷く。康平もゆっくりと笑みを返した。笑うことを忘れていたようなぎこちない笑いだった。「……おかえり」さらりとした口調で紗枝が言う。康平はかすれた声で応えた。「ただいま」二人は一歩ずつ歩み寄る。少しずつゆっくりと二人の距離が縮まっていく。「おかえり」今度は康平が言った。紗枝がはにかむような笑みを浮かべながら応える。「……ただいま」二人の頭上では、満開のハナミズキが見守るように柔らかな花びらをそっと揺らしていた。(ハナミズキ 2001)
