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あらすじ
大丈夫、きっと切り抜けるだろう。―体も心も満ち足りていた激しい恋に突然訪れた破局、その哀しみを乗り越えてゆくよすがを甘美に伝える表題作、昔の恋人と一つの部屋で過ごす時間の危うさを切り取る「手」、17歳のほろ苦い恋の思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」など、詩のように美しく、光を帯びた文章が描く、繊細な12の短篇。
2003年 第130回 直木賞受賞

 

ひと言
江國さんの作品は「神様のボート」しか読んだことはありませんが、この作品は物悲しさを残しながらさらりと読める短編集でした。12編の中では「洋一も来られればよかったのにね」が一番印象に残りました。江國さんのあとがきの「たとえば悲しみを通過するとき、それがどんなにふいうちの悲しみであろうと、その人には、たぶん、号泣する準備ができていた。喪失するためには所有が必要で、すくなくとも確かにここにあったと疑いもなく思える気持ちが必要です。……。かつてあった物たちと、そのあともあり続けなければならない物たちの、短編集……」