今回は香港の鉄道に関する話題をお届けします。
香港MTR(港鐵)が運営し、香港の郊外(新界エリア)を走る輕鐵(軽鉄・ライトレール)で活躍する「第二期電車」ですが、導入から30年が経過し廃車が進められていましたが、近日中に全ての車両が引退することになりました。
香港島を走る二階建てトラム(香港電車)とは違い、屯門や元朗地区などを運行する輕鐵の車両ということで観光客などが触れる機会は少なかった車両かと思いますが、日本の川崎重工で製造され、香港の英国領時代から中国返還の両方の時代を経験し、今も昔も変わらず香港市民の足を支え続けてきました。
郊外エリアでのちょっと地味な存在でありながら、香港の生活に密接に関わり続けてきたこの第二期電車の活躍について、今回は車両の紹介などを交えつつ振り返っていきたいと思います。
第二期電車は1992~1993年に日本の川崎重工で製造され、30両が投入されました。当時、輕鐵は九廣鐵路(KCR)が運営する鉄道でしたが、後に香港鐵路(MTR)へと運営が変わり、車両についてはKCRが保有し、MTRへ貸し出す形へと変わりました。
車体のカラーリングは当初は白色と橙色を基調としたものでしたが、後に現在の黄色と紫色を基調としたものに変更されました。
車体のステンレス部分は今も昔も剥き出しの状態で、1990年代初期の車両などによくあるコルゲート(凸凹)がしっかりとあります。
輕鐵の電車は主に1両編成と2両編成での2形態での運行があり、第二期電車もこれに沿った形での編成を組んで運行していました。
日中は1両編成単行での運行が多く見られます。朝夕のラッシュ時にも運用の都合上により1両で運行される電車もあり、この際は車内が大変混雑していて苦笑いすることもしばしばありました。
こちらは2両編成での運行の様子です。2両編成は朝夕のほか、日中の一部の電車でも運行されています。
輕鐵の運行される区間は終日に渡って利用者が多いので、こちらの2両編成の方が重宝される存在だったように思います。
2両編成の場合、運転台のある車両が2つつながって運行されることが多いのですが、一部の車両は増結用のトレーラー車として製造されており、正式な運転台の設備がありません(入換用の簡易運転台のみを内蔵)。
第二期電車では1201~1210番の10両がこのトレーラー車として製造されており、増結専用車両として活躍しました。
輕鐵の電車は運転台が片側にしかなく、後ろ側はこのような非常用の出入口のみが装備されています。第二期電車も後部は写真のような作りになっており、一番後ろまで客席になっていますので、乗客は後面展望を楽しむこともできます。
終点に到着した電車は進行方向を変えるためのループ線を通って方向転換を行うか、終端駅が一方通行になっていて折り返すことなく運行できるようになっています。
また、ホームも片側にしかないため、もう片側は乗降扉の設備は全くなく、車内の乗降扉の向かい側は立席や車椅子用のスペースになっているのも特徴です。
第二期電車の車内の様子です。2005年頃に内装のリニューアル工事を行っているため、比較的新しい雰囲気に見えます。
座席はオレンジ色のプラスチック製で、ドア側が1人がけ、ドアのない側が2人がけの前向きの座席が並びます。
先にも述べたように輕鐵の電車はドアが片側にしかなく、ドアの向かい側は立席や車椅子用のスペースになっています。
輕鐵は専用軌道を走る区間が多くなっていますが、一部の区間では道路との併用軌道区間になっており、第二期電車が乗用車やバスなどと同じ目線の高さで走る光景も見られました。
こちらは単線の友愛駅に第二期電車が入線してくる様子です。友愛駅は短い支線の終点の駅になっていますが、一方通行になっており、市中心駅から支線へ分岐して友愛駅に到着した電車はそのままの進行方向に発車し、先にある本線へと合流して次の安定駅へ進み、市中心駅方向へ戻るようになっています。
屯門碼頭駅で出発を待つ第二期電車たち。屯門碼頭は他の鉄道路線が通っていないため、輕鐵では主要駅となっていて需要も多いです。
歩行者が線路を横切って渡る必要があるため、電車はカンカンと警告の鐘を車両から流しながら出発していきます。
今回、惜しまれつつも引退となる第二期電車ですが、MTRから「第二期輕鐵感謝之旅」と題した引退記念のさよなら運転も行われることが発表されました。
2023年2月26日(日)、朝9時15分に元朗駅の1號ホームを出発し、兆康駅行きの臨時電車として運行されます。
兆康駅に到着後は午前11時頃まで同駅4號ホームに停車し、写真撮影などができる時間とされるようです。
現在、日本などの各国から香港へは条件を満たすことで観光目的での入国も可能ですので、余裕のある方や観光目的で既にこの日に行く予定にされている方はこのさよなら運転を見に行かれてみてはいかがでしょうか。
第二期電車の引退後の輕鐵はオーストラリア製の第三期電車や大規模な車体更新を実施したオーストラリア製第一期電車、西鐵線の延伸に伴う輸送力増強を目的に投入された第四期電車1次車に加え、さらに第二期電車の代替によって導入された第四期電車2次車(中国製)の4車種によって運行が行われるようです。
これからも車両のバリエーションに富んだ輕鐵を楽しむことができそうです。
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