今回は「区間列車ワンマンショー」をお届けします。前回の記事もご覧いただきありがとうございます。
このコーナーでは、その路線の途中で始発終点となってしまう「区間列車」に着目し、区間列車に実際に乗車して、車内の様子や車窓などを楽しみつつ、その列車がどのように利用されているかを実際に見ていこうと思います。
コーナーの更新は不定期となりますが、取材を適時行いながら記事を増やしてまいります。
多少マニアックな着眼点ではありますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
今回は関西私鉄からこちらの列車を紹介したいと思います。
南海高野線 特急橋本発なんば行き
今回紹介するのは南海電鉄の高野線で運行されている特急 橋本発なんば行きです。
南海高野線では2022年5月27日未明、和歌山県橋本市内にある小原田車庫で運転ミスによる脱線事故が発生し、特急車両1編成が損傷しました。
南海高野線の特急車両は従来から予備が少なく、また山間部のカーブが続く区間では独自の仕様を持った車両での運行が必要となるため、南海本線などで運行している特急車両(ラピート、サザン)を応援に入れることもできません。
このため、一部の特急こうや、特急りんかんについては当面の間運休とし、同じ時刻に普通・急行列車等で使用する車両を用いた「自由席特急」を運行する形をとっています。
自由席特急はその名の通り全車自由席での運行となっており、特急券(座席指定券)は不要で、乗車券、ICカード、定期券等のみで乗車することが可能です。
今回はこのピンチヒッターとして運行されている自由席特急に乗車してきましたので詳しく紹介したいと思います。
自由席特急での運行となっている列車は何本かありますが、今回は空いている列車に乗車しようということで、橋本駅を21時10分(土休日ダイヤ)に出発する特急なんば行きに乗車しました。
この列車は本来は特急りんかん16号として運行されている列車で、橋本~なんば間の特急の区間列車です。
駅の発車案内には特急なんば行き、4両2扉という案内が表示され、列車名等が表示されないのが特徴的でした。
今回乗車した自由席特急の橋本発なんば行きには2000系という車両が使用されていました。
2000系は車体の長さが他の南海電鉄の車両よりも短くなっており、高野線の山間部の急カーブが続く区間を走ることができるようになっています。
また、全ての車両の床下にモーターを搭載し、急勾配での加速性能も考慮された高野線に特化した仕様の車両になっています。
各車両の扉は2つで、ドア間に横長のロングシートが並びます。また、一部の車端については4人がけのボックスシートが用意されています。
トイレの設備はなく、この点は特急列車を代走する上でのデメリットとなりそうです。
ここからはなんばまでの乗車の様子を紹介します。今回は4人がけのボックスシートに座りました。
列車は橋本を出発。事故のあった小原田車庫のそばや御幸辻駅を通過し、次は林間田園都市に停車します。
林間田園都市ではなんばからの特急りんかんとすれ違います。あちらは事故に遭わなかった残りの特急車両で運行しているようです。
自由席特急も特急りんかんと同じ停車駅で運行しているため、急行列車よりも通過駅多めで運行します。
林間田園都市の次はいくつかの駅を通過した後、河内長野に停車します。河内長野は近鉄線との乗り換え駅です。
このあたりからはまだ難波方面を目指す人もいるようで、少しずつですが乗客が増えてきました。
南海高野線最大の車両基地である千代田車庫の横を通り過ぎ、千代田、滝谷の順に通過します。
河内長野の次は金剛に止まります。金剛でも特急列車と少しの間並びました。
金剛からはしばらく通過駅が続き、特急らしさを感じられる区間になります。
急行の停車する北野田も通過し、途中で各駅停車も追い抜いて速度も上がっていきます。
白鷺を通過すると下のトンネルから泉北高速線が現れ、中百舌鳥駅を100km/h近いスピードで通過します。
中百舌鳥は地下鉄御堂筋線とも乗り継ぎができる駅ですが、急行以上の優等種別は通過してしまいます。
金剛からしばらく走って、次の停車駅は堺東となります。堺東は堺市内の主要駅のひとつで、ここからは遅い時間でも難波方面を目指す人がまとまって乗車してきます。
堺東からはカーブも多くなり、運行している列車も多いことから少しゆっくりとした速度で駅を通過しながら難波方面を目指します。
住吉東駅では通過線を通過し、その先では阪堺電車の上町線と交差します。住吉東駅の近くには阪堺電車の神ノ木駅があり、徒歩で乗り換えも可能です。
岸里玉出からは南海本線との複々線になり、大阪市内最初の停車駅である天下茶屋に停車。天下茶屋では地下鉄堺筋線と乗り換えができるため、ここで降りていく方も多く見られました。
続いてJR大阪環状線・大和路線などとの乗り換え駅である新今宮にも停車。こちらでも多くの乗客が降り、難波方面へは数名の乗客を残すのみとなってしまいました。
そして列車は40分ほどの所要時間で終点のなんばに到着しました。
乗ってきた車両はなんばに15分ほど停車した後、再び運休の特急りんかんの代わりに走る特急橋本行きとして折り返すようです。
最後になりますが、南海高野線の早期の正常ダイヤへの復帰、損傷車両の復旧を願っております。
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