今回はこんな話題をお届けします。
かつては韓国全域の鉄道(KORAIL)で運行されていた夜行列車のムグンファ号、オール座席車両で夜通し本線をひた走り、翌朝夜も明けきらない時間帯に終着に着くという、宿代わりにはちょっと使いづらかったものの、都市圏では終電として、長距離では早朝から活動したい方に、とても重宝される列車でした。
しかし、KTXの開通や増発が進行し、既存の在来線でも付け替えなどが行われる区間が出てきたため夜行列車の運行規模は年々縮小の一途をたどり、ついに2021年8月1日のダイヤ改正で最後の夜行列車が廃止となってしまいました。
そんな韓国の夜行列車、いくつか記録してきたものがありますので、今回は写真を交えながら振り返ってみたいと思います。
今回、2021年8月1日改正前の最後まで残ったのは龍山発麗水エキスポ行きのムグンファ1517列車でした。
ソウルの龍山駅を22時45分に出発し、麗水エキスポには深夜3時53分に到着するという列車で、夜行列車ながら麗水エキスポの到着があまりにも早朝すぎる列車でもありました。
このダイヤですと、西大田、益山方面への最終電車として使うのは有用である一方、一夜を明かして順天、麗水エキスポ方面へ向かうのに利用するにはやや難ありといった感じもありました。
とはいえ、終電代わりに使う人だけでなく、大きな荷物を抱えて各地へ向かう乗客の姿を見ることもできましたので、実際に一夜を明かす夜行列車として利用していた乗客もそれなりにおられたようです。
続いてこれよりも前のダイヤ改正で廃止された代表的な列車ですが、釜田発清凉里行きのムグンファ1624列車を紹介します。
この列車は釜山市内にある釜田駅を22時42分に出発し、翌朝ソウルの清凉里駅に5時50分に到着します。
釜山、ソウル側とも釜山駅、ソウル駅の発着ではなく、運行する路線もメインの京釜線ではなく東海線、中央線などを経由して大回りをする列車ですが、その関係で釜山側も夜遅すぎない時間に出発し、ソウル側への到着も都市鉄道が動き始める頃の時間帯の到着となり、一夜を明かすには使い勝手のよい列車であったと思います。
釜山側の釜田駅は市場の一角にあり薄暗い場所にありましたが、それが逆に夜行列車の始発駅としての味わいを感じられる所もありました。
この他、かつては22時55分にソウル駅を出発し、東大邱駅まで向かう深夜便のようなムグンファ号もありましたが、現在は利用の多い大田駅までの運行に短縮されています。
一方、龍山駅を21時25分に出発し、麗水エキスポに深夜2時37分に到着するムグンファ1513列車はダイヤ改正以降も運行されており、一部区間では深夜便のムグンファ号を引き続き楽しむことができるようです。
日本でも夜行列車、寝台列車の多くが廃止されていきましたが、韓国でもその光景がついに失われてしまうこととなりました。
深夜のホームに佇む夜汽車は独特のオーラを放ち、家路を急ぐ短距離客やこれから旅立つ旅行者、別れを惜しむカップルなど様々な人間模様を垣間見ることができ、人々の想いを乗せて眠ることなく走ってきました。
海外旅行が難しい状況の中でこれらの列車の最後に立ち会えた方はあまり多くなかったかもしれませんが、一人でも多くの方の記録の中に留めてほしいと思いました、時々こんな列車が走っていたことを思い出して、乗車したことがある方は懐かしんでみるのもよいかもしれません。
また、2021年8月1日のダイヤ改正ではKTX江陵線、東海線を運行するKTXが全てKTX-イウムという新型車両に代替され、同線ではこれまで運行されていたKTX-山川の運行がなくなりました。
KTX-イウムは2021年1月5日の中央線KTXの運行開始よりデビューした新型車両で、この運行範囲が江陵、東海へと広がる形になりました。
KTX-イウムについては現在取材ができておらず、紹介が相当遅れる見込みですが、ダイヤや一部の運賃等に変更が生じていますのでご利用の際には再確認をお願いいたします。
夜行列車の話に戻りますが、日本、韓国、台湾などでは夜行列車の運行がなくなってしまいましたが、国土の広い中国や高速化が遅れているタイ、ベトナムなどでは今も夜行列車が多く運行されています。
中国などは駅を発着する半数以上の在来線列車が夜行列車ということも珍しくなく、今も存分に夜行列車を楽しむことができます。
各国の夜行列車は人々の生活感に溢れ、日本の列車とはまた違った雰囲気を味わうことができますので、ご興味のある方は今後これらの国へ足を運んでみることを検討してみるのもおすすめです。
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