「見て語ろう!世界の交通考察」 KORAIL中央線KTX開通と高速、市外バス | 世界バス轉運站 -アジアの交通総合ブログ-

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今回よりまた新たな新コーナーとして「見て語ろう!世界の交通考察」をお送りします。

COVID-19(新型コロナウイルス)の流行により、未だ世界各国との往来が再開がいつになるのか見通せない状況が続いています。

しかし、現代ではインターネットが普及し、各国の公共交通の最新の情報を得ることは非常に容易になりました。

そういった環境を活用し、最新の情報を得ていきながら、これまで各国の交通を利用してきた身として考察していこうというのがこのコーナーです。

もちろん、各路線等の最新情報については公式情報、ニュースサイト等から拾ってきた事実に沿って話を進めていきますが、考察については記事を書いていく私の考察による完全な私見になりますので、あくまでも参考としてご覧いただき、各国へ行かれた際にはぜひ実際の状況をご覧いただきながら、皆様と一緒に考えていければと思っています。

 

(写真は江陵線などを運行するKTX-山川)

今回は韓国より、新たに開通した中央線KTXについて紹介していきたいと思います。

 

中央線KTXが開通、ソウル~安東を約2時間で結ぶ(KONEST)

文大統領「ディーゼル機関車を低炭素型鉄道に転換へ」 試乗式に参加(韓国KBSニュース)

※上記リンクより各サイトのニュース記事に飛ぶことができます(外部サイトになります)

 

2021年1月5日にKORAILではダイヤ改正が実施され、新たにソウルの清凉里と安東を結ぶ中央線KTXが運行を開始しました。

新たにKTX-EUMという新型車両が投入されたほか、KORAIL中央線も山間部の区間を新線へと付け替えが行われました。KTX-EUMの最高速度は260km/hで、清凉里~原州間は約50分、清凉里~堤川間は約1時間10分、清凉里~栄州間は約1時間45分、清凉里~安東間は約2時間5分で結ばれ、従来のムグンファ号よりも所要時間が大きく短縮されました。

平日は1日7往復、土休日は1日8往復が運行され、各方面への利便性の向上と観光需要の増加が期待されています。

 

 

従来のKORAIL中央線は線形が悪く、原州、堤川、安東方面へは高速バス、市外バスが早く本数も多いため需要が高い区間でした。

中央線KTXは本数が少ないこともあり、現状では高速、市外バスへ与える影響は限定的とも言われていますが、江陵線KTXの開業時には高速バスの需要が大きく奪われて減便に追い込まれたという出来事もありましたし、中央線KTXも将来的には増便等も考えられますので、高速、市外バスへの影響はじわりじわりと出てくるのではないかと思います。

そこで今回はKTXと高速、市外バスの所要時間や運賃、本数などを比較し、考えていきたいと思います。

 

まず中央線KTXを見ていきましょう。

 

中央線KTX(KTX-EUM) 清凉里~安東 25100ウォン(一般室) 所要時間約2時間5分 毎日7~8往復(1~3時間おき)

 

このような感じになっています。

一方、市外バスは清凉里駅から近い場所ですと、江辺駅のそばにある東ソウルバスターミナルから出ています。

東ソウル~安東間はこのような運行になっています。

 

市外バス 東ソウル~安東 22200ウォン(優等バス) 所要時間2時間50分 ソウル発毎日16本(20分~1時間50分おき)

 

定員などの問題などもあり輸送力については比較できませんが、KTXよりも市外バスの方が圧倒的に本数が多いことがわかります。

所要時間についてはKTXの方が45分ほど早く、運賃差は約3000ウォン程度ということで非常によい勝負をしているのではないかと思います。

この差ではあれば、引き続き市外バスを選ぶ乗客もいるでしょうし、45分の所要時間差を取ってKTXへ転移する乗客もいると思います。

バスについてはさらに安東と江南にあるソウル高速バスターミナルを結ぶ路線もあり、以下のような運行になっています。

 

高速バス ソウル江南~安東 22200ウォン(エクセレント) 所要時間2時間40分 ソウル発毎日18本(40分~1時間30分おき)

 

ソウル江南発であれば東ソウル発よりも2本多く、しかも所要時間が10分短くなって2時間40分になりますので、KTXとの所要時間差は35分にまで縮まります。

清凉里駅とソウル高速バスターミナルは場所が全然違いますが、ソウル高速バスターミナルは交通の便がよい所ですので、ソウル側の目的地によっては非常に有利になってくると思います。

なお、安東側については市外バス、高速バスともに安東駅の目の前にある安東ターミナルから発車するため、こちらの立地条件についてはほぼ互角と言えます。

 

せっかくなので他の行き先(原州、堤川)についても見ていきましょう。

 

中央線KTX(KTX-EUM) 清凉里~原州 10100ウォン(一般室) 所要時間約50分 毎日7~8往復(1~3時間おき)

中央線KTX(KTX-EUM) 清凉里~堤川 15400ウォン(一般室) 所要時間約1時間10分 毎日7~8往復(1~3時間おき)

 

まずKTXですが、本数については安東までと変わりはありません。

所要時間については従来ムグンファ号で2時間かかっていた清凉里~堤川間が半分の1時間程度で結ばれ、大幅な所要時間短縮が実現しています。

続いて東ソウル発の市外バスについて見ていきましょう。

 

市外バス 東ソウル~原州 7700ウォン(一般) 所要時間1時間30分 ソウル発毎日24本(15分~1時間10分おき)

市外バス 東ソウル~堤川 13800ウォン(優等) 所要時間約2時間 ソウル発毎日14本(30分~2時間おき)

 

特に堤川の所要時間差が圧倒的で、KTXの方が市外バスの半分の所要時間で行けてしまいます。運賃も2000ウォンも差がないことから、この区間ではKTXが強敵になってくるのではないかと思います。

清凉里~堤川間は割安なムグンファ号も引き続き何本も運行され、こちらもKTXと同じ新線経由で運行されることから所要時間も短縮されています。あわせて市外バスの強力なライバルとなることが考えられます。

原州についても所要時間差はKTXの方が圧倒的に早いですが、このあたりはまだソウル近郊にあたるため市外バスの本数がとてつもなく多く、最大15分おきという高頻度運行が行われています。仮に増便されてもこの本数だけはKTXが対抗できないものになってくると思います。

 

せっかくですから、ソウル高速バスターミナル発着の高速バスについても見てみましょう。

 

高速バス ソウル江南~原州 11300ウォン(エクセレント) 所要時間1時間30分 ソウル発毎日50本(10分~40分おき)

高速バス ソウル江南~堤川 15500ウォン(エクセレント) 所要時間2時間 ソウル発毎日13本(40分~2時間10分おき)

 

やはり所要時間については圧倒的にKTXが勝りますが、原州行きの本数が飛び抜けて多いです。東ソウル発よりも多く、昼間でも10分おきに出発する時間帯があるほどです。しかし、東ソウル~原州間は4列シートの一般バスで運行するため運賃が安いのに対し、ソウル江南~原州は3列シートのエクセレントバスの本数が多いため11300ウォンとなり、KTXよりも割高な運賃になってしまいます。

堤川についても同様にKTXより僅かに運賃が高くなってしまっていますので、所要時間も考えるとかなり劣勢になってしまいます。

 

これらを比較してみて皆様はどのようにお感じになりましたでしょうか。

私個人としては本数に関してはやはり市外バス、高速バスが多いためどの区間もこちらの利便性が高いと思いますが、所要時間や運賃を比較すると堤川などでは圧倒的にKTXの方が優勢で、時間さえ合えばKTXを利用してしまうかもしれないと思いました。

運賃情報については2020年1月8日現在の情報ですので、今後の状況次第では市外バス、高速バスも攻勢に出てくる可能性もありますので今後の奮闘にも期待したい所です。

 

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