今回はちょっとネタ要素も強い記事になってくると思いますが、お付き合いいただければと思います。
台中駅から建国路を北上し、約15分ほど歩くと干城というエリアに到達します。
ここは各社のバス乗り場が路上に集結しているエリアで、全航客運、南投客運、彰化客運、員林客運、和欣客運、建明客運、その他市内線バスなど、相当な数の路線バス乗り場があります。長さは南北500mほどに及ぶとみられ、台中エリア最大規模のバス乗り場と言っても過言ではないでしょう。
今回はそんな干城のバス乗り場から、總達客運について紹介したいと思います。
同社は台中から集集、水里方面への路線バスを運行し、1路線のみを細々と運行する小さな事業者です。とはいえ、水里方面は台中からだと台鐵集集線というローカル線で行くくらいしか足がなく、しかも乗り換えが必要なため、バスは直通で行くことができる貴重な交通手段です。また、台中から南投県の中心である南投への直通の路線バスも、この總達客運が担う形になっています。
路線はひとつだけですが、下道経由、高鐵台中駅経由、高速経由など複数の系統に分かれており、水里方面への利便性が確保されています。
様々な場所から乗降できICカードも利用可能、しかも20分間隔と言う利用しやすい本数が確保されているため、地元客のみならず観光客にも便利な交通手段として愛され続けています。
台中側始発の千城には常に数台のバスが待機しており、乗客を待っています。ここからは主に2つの系統が主体となり、高速経由と下道経由のバスを確認して乗車することになります。
高速経由には「中二高」の表記が、下道経由は「草屯・南投」等の経由地表記がどこかにありますので、こちらをしっかり確認して、目的地に合った系統を選びましょう。
總達客運の面白い所は車両バリエーションの多さ。台北エリアからの移籍車を中心としたラインナップで、高速経由の系統を持ちながら所属車両はほぼ路線型車両のみです。
まずは中型車両をご紹介。定員の少ない車両ですが、座席数が極力確保されており、主に高速経由の便で使用されています。
ここからは楽しい移籍車が沢山登場します。こちらは欣欣客運からの移籍車。欣欣客運の塗装がほぼそのままに残されていて、同社では非常に目立つ存在です。前乗り前降りのため、中扉は埋められています。
2001年式と台湾にしては古参車の部類に入り、主に下道経由の便で使用されていました。
こちらも元欣欣客運の車両で、2006年式の低床車となっています。こちらはしっかりと塗装を塗り替えられており、更に座席の増設も行われています。
こちらの車両も下道経由の便を中心に運用されていましたが、一部高速経由にも入っているのを目撃しました。市内線から高速経由の長距離路線転用というのもまた物凄いことですね…。こちらは中扉は残っている車と埋められている車の両方が存在します。
こちらも塗り替えられていますが、元欣欣客運と思われる1台。塗装がまだきれいでしたので移籍時期も割と最近ではないかと推測されます。
こちらは元首都客運のいすゞ車。2000年式と古い車両ですが、中二高(高速)経由の便でバリバリ走っていました。中扉も埋められ、座席も増設されていますが、これだけ古い路線車が高速を爆走するという例は、台湾ではあまり例がありませんね。
こちらは元台北客運の櫻花車。移籍時期も割と最近のようで、自社塗装に塗り替えられ、シンボルであった前面の行灯もきれいに埋められてしまいました。この時はまだ1台しか移籍してきていませんでしたが、今後また増えていくかもしれません。
總達客運では最近になって自社発注の低床新車も相次いで導入されています。こちらは中国のYUTONG社製のノンステップバス。もちろん車いすでの乗降も可能な仕様で、中扉が設けられています。
まだ1台しか在籍していないためなかなか見かけず、こちらは主に下道経由便での運行となっています。
こちらもYUTONG社製の車両ですが、トップドア仕様の低床バスになっています。
高雄客運にも似たような車両がいましたが、大型低床で極力座席を確保できる仕様が作れるというのは、長距離路線の多い台湾では非常に強みではないかと思います。
こちらもまだ2台しか在籍していませんが、その仕様を活かして高速経由便で使用されています。
總達客運について見てきましたが、移籍車を中心としたラインナップはバスファンの心をくすぐるものがあり、長時間見ていて全く飽きることがありませんでした。
台北地区などでは古い車両はあまり残っていませんから、台湾の古参車に触れるにはよい事業者かもしれません。
また、台中から南投、水里方面へ、均等な間隔で待たずに利用できる利便性は様々な人に使いやすいダイヤになっていると感じました。自然豊かな南投県のアクセスとして、今後ぜひ利用してみたいと思います。