EPAは炎症を抑えるって本当?アレルギーにもいいの? | h4z3f2のブログ

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DHA・EPAと脂肪酸の基礎知識

炎症は、異物から自分の身体を守るために起きる防衛反応で、なくてはならない仕組みです。しかし、炎症が慢性的に続くことが、さまざまな病気の原因になっていることがわかってきました。過剰な炎症を抑えるために、EPA(エイコサペンタエン酸)が良いという話がありますが、これは本当でしょうか? 解説します。


考え込む女性たち

EPAに炎症を抑える作用がある?

EPA(エイコサペンタエン酸)を含むn-3系脂肪酸(別名:オメガ3系脂肪酸)には、炎症を抑える作用があることがわかっています。

そもそも炎症とは?

炎症は、有害なものから私たちの身体を守るために起こる防衛反応です。炎症が起こっている場所は、異物と免疫細胞が戦う戦場のようなものです。赤く腫れたり、熱を持ったり、痛みが出たりします。

かぜなどの感染症で炎症が起こるのは、病原体を排除するために必要なものですが、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患、リウマチなどの自己免疫性疾患で起こる炎症は、本来は起こる必要のない過剰なものです。また、近年では体内で気づかない程度の慢性的な炎症が続くことが、生活習慣病やがんの発症にかかわっていることがわかってきています。いずれにせよ過剰な炎症は抑えたいものです。

EPAとは?

EPAは、青魚の油に多く含まれるn-3系脂脂肪酸の一種です。n-3系脂脂肪酸には他にもDHA(ドコサヘキサエン酸)やα-リノレン酸などがあります。どうして「n-3系」という名前が付いているのかというと、脂肪酸の一番端にあるメチル基から数えて「3番目」の炭素に二重結合があるからです。

EPAで炎症が抑制できる理由

EPAなどのn-3系脂肪酸が炎症を抑えることができる理由は、炎症を促進する作用のある物質がつくられるのを邪魔するからです。

炎症を促進する物質の元は「n-6系脂肪酸」です。これにはリノール酸やγ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸などが含まれます。

n-6系脂肪酸は、その名前から想像できるように、脂肪酸のメチル基から「6番目」の炭素に二重結合があります。つまり、構造上はn-3系脂肪酸とは二重結合がある場所がちょっと違う程度の差しかありません。それなのに真逆の作用を持っているというのは不思議ですよね。

n-3系とn-6系は綱引きをしている

このn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸はどちらも「多価不飽和脂肪酸」という分類に属します。この多価不飽和脂肪酸を体内で利用するときの経路には、n-3系のルートとn-6系のルートがあります。どちらの経路に進むかは、食事でどちらをより多く摂ったかで決まります。

つまり、魚を多く食べればn-3系脂肪酸の摂取量が多くなって、n-3系のルートに流れていきます。逆に肉を多く食べたときはn-6系脂肪酸が多いのでn-6系のルートに行くことになります。まるで摂取量の多さで綱引きをしているようなものです。

n-6系のルートで作られるアラキドン酸は、やがて炎症を促進する物質(プロスタグランジン、トロンボキサンなど)に変換されます。つまり、n-6系のルートに流れるほど体内で炎症を促進する物質が作られやすくなってしまうのです。

n-3系脂肪酸の摂取は炎症抑制にはたらく

n-3系脂肪酸を多く食べれば、n-6系のルートに流れずにすみますので、アラキドン酸の量が少なくなり、炎症物質も減ると考えられます。実際に、EPAなどのn-3系脂肪酸を摂ることで炎症が抑えられ、血中の炎症マーカーが減ったという報告がなされています。

では、n-3系脂肪酸の摂取で、過剰な炎症によって引き起こされているアレルギー疾患や自己免疫疾患などが予防できるのでしょうか。残念ながら、今のところ有効かどうかはハッキリしていません。少なくともn-3系脂肪酸が炎症を防ぐ方向に働くのは確かなので、日頃の食生活で積極的にEPAやDHAなどを摂るようにしてみてはいかがでしょうか。