DHA・EPAと脂肪酸の基礎知識
EPAは体にいい成分であることはなんとなくわかっていても、詳しい効果について、またDHAとの違いについてまでは知らない人が多いものです。ここでは、EPAについて、解説します。
EPAには生活習慣病を予防する効果があり、積極的に摂取すべき成分です。ただ、EPAの詳しい効果や、DHAとの違いがよくわからないという人も多くいるはずです。今回は、EPAについてご紹介します。
EPAとは
EPAとは「eicosapentaenoic
acid」の略語であり、正式名称はエイコサタペンタエン酸といって、健康維持に欠かすことのできない必須脂肪酸です。EPAは体内では生成することができないため、食事などによって摂取しなければなりません。
血液の流れを改善し、血栓症の予防にも効果があるとされるEPAは、健康食品をはじめ医薬品にも太く使用されています。また、生活習慣病の改善や予防にも効果的であることがわかっており、広い分野で活用されているといえます。
EPAとDHAの違い
実は、生活習慣病の改善効果が期待できるのはDHAも同じです。では、EPAとDHAの違いはどこにあるのでしょうか。
血流改善効果はEPAの方が高い
血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪濃度、そして血糖値が高くなると、血液はドロドロとした状態になってしまいます。そして、この状態を改善し、動脈硬化や高血圧症を予防する効果はEPAにもDHAにもあるとされています。ただし、その作用には違いがあります。
DHAは血管や赤血球の細胞膜を柔軟にさせることによって血流を改善します。一方でEPAは、優れた血小板凝集抑制作用によって血栓を防ぐことで血流を改善します。そのため、血栓を防ぎ血液をサラサラの状態にする作用はEPAの方が高いと考えられています。
神経系への働きかけはDHAのみ
EPAもDHAも、どちらも小腸で吸収されて肝臓を通過して血液中に入ることになります。そしてその後、脳にとって必要な物質かどうかを選り分けする関門を通るのですが、この関門を突破することができる限られた成分に含まれているのがDHAなのです。DHAは、特に学習能力や記憶力に関する海馬にて集められて、脳の働きを活性化させる重要な役割を担っています。また、DHAは血液網膜関門も通過することができ、視力の改善においても必要とされる成分と考えられています。一方、EPAはどちらの関門も通過することができず、神経系への働きかけは行うことができません。
EPAの成分の特徴
脂肪酸は、構造上の市街によって「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分けることができます。さらに不飽和脂肪酸は、炭素の二重結合が1つの「一価不飽和脂肪酸」と2つ以上の「多価不飽和脂肪酸」とに分けることができます。そして、この多価不飽和脂肪酸にEPAは含まれています。肉にも魚にも同じくらいの量のEPAは含まれていますが、体内で実際に利用されている量は魚の方が多くなっています。
EPAがもたらす体への影響
そして、EPAには血圧低下、血栓の生成を抑制する、動脈硬化を抑える、つまり狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の予防に効果があるとされています。また、脳の老化や痴呆症を改善するといった効果も期待できるとされています。
EPAが含まれている食べ物
では、どのような食べ物にEPAは多く含まれているのでしょうか。
あじ
あじの旬は春から初夏です。あじは、青魚のなかでも食べやすい魚で、うまみ成分であるイノシン酸やグルタミン酸、そしてタウリンなどを多く含んでいます。また、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸も多く含まれており、血液中の中性脂肪そしてコレステロールを減らす作用があります。
いわし
いわしの旬は秋から冬です。一般的にいわしと言えば、まいわしを指しています。いわしには良質のタンパク質と脂質が含まれるほか、カルシウムやミネラル、鉄分も多く含まれています。もちろん不飽和脂肪酸のEPAやDHAも含まれており、血液中のコレステロールを低下させる作用があるとされています。
さば
青魚の代表的な存在ともいえる、秋が旬のさばの脂肪には、EPAがたっぷりと含まれています。ただ、さばにはアニサキスが寄生していることがあり、加熱や冷凍でないと死滅しないとされているため、新鮮なものを選ぶことが重要です。
さけ
ビタミンEの1000倍ともいわれるほどの抗酸化力の高い鮭の旬は秋から冬で、脂肪にはEPAをはじめカルシウムが多く含まれています。また、免疫力を高めて血管の酸化を防止する働きもあります。
かつお
初夏から秋が旬のかつおは、その栄養価がレバーに匹敵するとされており、なかでもビタミンDno含有量が豊富で、100gで1日の必要摂取量が補えるといわれています。もちろんEPAも豊富に含まれており、血液をサラサラにして脳の働きを発生化させる効果が期待できます。
EPAは体内で作り出すことができない成分であり、食事などによって補う必要があります。主に魚に多く含まれており、血液をサラサラにする働きがあるといわれています。毎日の食事にうまく取り入れて、積極的にEPAを摂取していきましょう。