体脂肪率の基礎知識
理想的、つまり適正な体脂肪率は、性別・年齢によっても異なります。厚生労働省が発表している体脂肪率に関するデータと、性別・年齢別の標準値について、解説します。

体脂肪率とは
「体脂肪率」とはその言葉の通り、体重の中の「脂肪の割合」のことを指します。つまり、体重の何%が脂肪なのかという割合を知る数値です。なお、この場合の「脂肪」とは、皮下脂肪と内臓脂肪の両方を指します。
体脂肪は、身体の健康を維持していくために、とても大切な役割を担っています。寒暖時の体温調節、免疫や性機能などのホルモン分泌、体を動かすためのエネルギーの備蓄などに体の脂肪分は必要不可欠です。
生活習慣病などの健康障害と体脂肪率の相関関係は薄く、厚生労働省が定めるメタボリックシンドロームの診断基準には採用されていません[1]。ですが、体脂肪率を健康診断の診断項目として扱う施設もあります。また、健康的なダイエットを行ううえでは筋肉量や水量ではなく、体脂肪を減らすことが重要となるため、体脂肪率をダイエットの指標としても活用できると考えられます[2]。
体脂肪率の区分法のひとつとして、「痩せ」「標準-(マイナス)」「標準+(プラス)」「軽肥満」「肥満」の5つで分ける考え方があります[3]。理想の体脂肪率は、男女によっても年齢によっても大きく違い、幅があるため、自分の年齢・性別の標準値を知り、比較してみるとよいでしょう。
性別・年齢別の体脂肪率の適正範囲
厚生労働省では、男性で体脂肪率15~20%、女性で20~25%が「普通」、男性で25%以上女性で30%以上が「肥満」と判定されるとしています[6]。
下記は、株式会社タニタが作成した体脂肪率の判定値となります[3]。 同じメーカーでも使用する機器によって判定値が異なることがあるので、測定器の取扱説明書などを参照することをおすすめします。
男性(18歳未満)の体脂肪率の判定値
| 6~7歳 | やせ ~6% 標準(-) 7~15% 標準(+) 16~24% 軽肥満 25~29% 肥満 30%~ |
|---|---|
| 8~11歳 | やせ ~6% 標準(-) 7~15% 標準(+) 16~25% 軽肥満 26~29% 肥満 30%~ |
| 12~13歳 | やせ ~6% 標準(-) 7~15% 標準(+) 16~24% 軽肥満 25~29% 肥満 30%~ |
| 14歳 | やせ ~6% 標準(-) 7~14% 標準(+) 15~24% 軽肥満 25~28% 肥満 29%~ |
| 15歳 | やせ ~7% 標準(-) 8~14% 標準(+) 15~23% 軽肥満 24~28% 肥満 29%~ |
| 16歳 | やせ ~7% 標準(-) 8~15% 標準(+) 16~23% 軽肥満 24~27% 肥満 28%~ |
| 17歳 | やせ ~8% 標準(-) 9~15% 標準(+) 16~22% 軽肥満 23~27% 肥満 28%~ |
男性(18歳以上)の体脂肪率の判定値
| 18歳~39歳 | やせ ~10% 標準(-) 11~16% 標準(+) 17~21% 軽肥満 22~26% 肥満 27%~ |
|---|---|
| 40歳~59歳 | やせ ~11% 標準(-) 12~17% 標準(+) 18~22% 軽肥満 23~27% 肥満 28%~ |
| 60歳~ | やせ ~13% 標準(-) 14~19% 標準(+) 20~24% 軽肥満 25~29% 肥満 30%~ |
女性(18歳未満)の体脂肪率の判定値
| 6歳 | やせ ~7% 標準(-) 8~15% 標準(+) 16~24% 軽肥満 25~28% 肥満 29%~ |
|---|---|
| 7歳 | やせ ~8% 標準(-) 9~16% 標準(+) 17~24% 軽肥満 25~29% 肥満 30%~ |
| 8歳 | やせ ~9% 標準(-) 10~17% 標準(+) 18~25% 軽肥満 26~30% 肥満 31%~ |
| 9歳 | やせ ~9% 標準(-) 10~18% 標準(+) 19~27% 軽肥満 28~31% 肥満 32%~ |
| 10歳 | やせ ~10% 標準(-) 11~19% 標準(+) 20~28% 軽肥満 29~32% 肥満 33%~ |
| 11歳 | やせ ~12% 標準(-) 13~21% 標準(+) 22~30% 軽肥満 31~34% 肥満 35%~ |
| 12歳 | やせ ~13% 標準(-) 14~22% 標準(+) 23~31% 軽肥満 32~35% 肥満 36%~ |
| 13歳 | やせ ~14% 標準(-) 15~24% 標準(+) 25~33% 軽肥満 34~37% 肥満 38%~ |
| 14歳 | やせ ~16% 標準(-) 17~25% 標準(+) 26~34% 軽肥満 35~38% 肥満 39%~ |
| 15歳 | やせ ~17% 標準(-) 18~26% 標準(+) 27~35% 軽肥満 36~39% 肥満 40%~ |
| 16歳 | やせ ~18% 標準(-) 19~27% 標準(+) 28~36% 軽肥満 37~40% 肥満 41%~ |
| 17歳 | やせ ~19% 標準(-) 20~27% 標準(+) 28~36% 軽肥満 37~40% 肥満 41%~ |
女性(18歳以上)の体脂肪率の判定値
| 18歳~39歳 | やせ ~20% 標準(-) 21~27% 標準(+) 28~34% 軽肥満 35~39% 肥満 40%~ |
|---|---|
| 40歳~59歳 | やせ ~21% 標準(-) 22~28% 標準(+) 29~35% 軽肥満 36~40% 肥満 41%~ |
| 60歳~ | やせ ~22% 標準(-) 23~29% 標準(+) 30~36% 軽肥満 37~41% 肥満 42%~ |
体脂肪率と健康の関連
ところで、体脂肪率が「標準」ではなかった場合は、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。
女性ホルモンに影響
体脂肪が極端に少なくなると、女性の場合はホルモン分泌の異常が起こり、無月経や骨粗鬆症につながる場合があります[4]。特に極端なカロリー制限による無理なダイエットを行った場合や、体脂肪が少ない女性アスリートに健康障害が多いといわれています。このような場合は、食事全体の栄養バランスを見直すことが大切です。
生活習慣病のリスク
大人でも子供でも体脂肪率の高い人は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を引き起こす危険があります。適度に運動をしたり、食べる量を減らしたり、栄養バランスを見直したりと、生活習慣を見直して、体脂肪率を少しでも標準へ近づけるように努力することが大切です。
小児の肥満にも注意
特に子供の肥満は成人肥満へ移行しやすいともいわれており[5]、子供のうちから体脂肪率を管理することが重要だと考えられます。年齢や性別によって理想とする体脂肪率が異なるため、さらに詳しく数値で見ていきましょう。