ミネラルの種類(1)カルシウム
カルシウムが慢性的に不足している、乳製品が苦手、カゼインアレルギーの方、カルシウムが不足しがちな方にとってサプリメントは強い味方になります。サプリメントを選ぶコツや、注意すべき点を解説します。

カルシウムを食事から摂ることが難しい方は、サプリメントを利用してみてはいかがでしょうか。
カルシウムは不足しがちな栄養素
カルシウムは食品から人体への吸収率が低い栄養素で、食品中の15%から50%しか吸収されないとされています。食品だけで必要量を摂取することが難しい栄養素です。
カルシウムが慢性的に不足している方は、カルシウムを含むサプリメントで補うという方法もあります。
カルシウムのサプリメントについて知っておきたいこと
サプリメントでカルシウムを効率的に摂取するために気をつけたい点をまとめました。
1日に必要とされるカルシウム摂取量
日々失われるカルシウムは、糞便中に約100mg、尿中に約130㎎、汗で30㎎排出され、合計260㎎失われる計算になります。腸管の吸収率を50%とすると、理論上は520㎎の摂取で足りることになります。
そのため、厚生労働省が推奨するカルシウムの所要量は、成人で600mg/日程度とされています。上限量は2500mgです。しかし、所要量とは、あくまで「必要最小量」です。健康レベルの維持には、800~1000㎎/日は摂取したいところです。
また、妊娠中は、母体から胎児へ約30㎎のカルシウムが移行します。出産後の母乳には約230㎎/日のカルシウムが分泌されます。そのため、妊婦は1200~1500㎎を確保を目指しましょう。
閉経前期から10年くらいは、年に2~5%という早さで骨量が低下していきますので、男性の必要量より500㎎くらい余分に摂取しておくとよいでしょう。
カルシウムと一緒にマグネシウムを摂る
カルシウムを多く摂りすぎると、体内のマグネシウムが減少してしまいます。カルシウムとマグネシウムの比率は2:1がよいといわれています。
そのため、サプリメントは、マグネシウムが一緒に配合されているものが理想的です。
しかし、現代のようなストレス社会では、マグネシウムは容易に失われ、マグネシウム不足傾向にあります。
カルシウムとマグネシウムの比率は1:1くらいが理想かもしれません。
ビタミンDはカルシウムの吸収に必須
カルシウムの吸収にはビタミンDが必須です。
一緒にビタミンDが配合されているサプリメントがおすすめです。
ミネラルは相乗効果が大切
ミネラルは他の栄養素と助け合って効果を発揮します。ミネラルの一種であるカルシウムも、他の栄養素がバランスよく配合されたマルチビタミン・ミネラルのサプリメントから摂ると効果的とされています。
少なくとも、マグネシウム・亜鉛・ビタミンDが一緒に配合されているものがいいでしょう。
カルシウムサプリメントは摂りすぎに注意
栄養素を手軽に摂れるサプリメントを利用する場合は、摂取量に注意しましょう。
カルシウムは、上限量を超えるほど大量に毎日摂り続けると、腎結石などの生活習慣病の原因となります。
これを防ぐためには、マグネシウムを一緒に摂ることがおすすめです。マグネシウムは、カルシウムが本来あるべきでないところに蓄積すること(異所性沈着)を防ぎます。
また、血中のカルシウム濃度が高くなりすぎると、高カルシウム血症を引き起こすことがあります。高カルシウム血症の症状としては、のどの渇きや吐き気・腹痛・頻尿・便秘などがあり、あまりにひどくなると命にかかわります。
カルシウムサプリメントと相性がよくない薬
カルシウムを多く含むサプリメントと一緒に飲むと不具合が起こる薬があります。一緒に飲まないよう注意しましょう。
チアジド系利尿薬、ジギタリス(強心薬)、テトラサイクリン、キノロン(抗生物質)、トロキシン、フェニトインなどは、カルシウムサプリメントとの飲み合わせがよくないとされています。
もし普段から常用している薬がある場合は、サプリメントを飲む前に必ずドクターや薬剤師に相談しましょう。サプリメントのパッケージやチラシなど、成分がわかるものを一緒に持って行くとより正確な判断ができます。
サプリメント以外にカルシウムを摂取する方法はあるの?
体内に吸収されにくいカルシウムの吸収率をなるべく上げるための、効果的な方法を紹介します。
カルシウムの吸収率は食品によって異なる
カルシウムは、食品からの吸収率が低い栄養素です。一番吸収率が高い牛乳や乳製品でも、約50%しか人間の体内に吸収されません。続いて小魚が約30%、野菜類が約15%となります。
牛乳や乳製品のカルシウムはどうして吸収率が高いのでしょうか。
それは、カルシウムの吸収を助ける乳糖や、リジン・アルギニンなどのアミノ酸が一緒に含まれているからです。牛乳が消化される過程で生成されるCPP(カゼインホスホペプチド)はカルシウムがリンと結合しないように作用し、カルシウムが吸収されやすい状態に保ってくれます。
つまり、乳製品は豊富なカルシウムと、それを吸収しやすくする成分とをあわせ持つ食品なのです。
牛乳や乳製品以外の食品からカルシウムを効率よく摂取するためには、一緒に食べる食品や調理法を工夫する必要があります。
では、カルシウムの吸収率を高めてくれる栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。
カルシウムの吸収をよくしてくれるもの
カルシウムを豊富に含む食品を摂るときは、次の食品や栄養素を一緒に摂るようにしましょう。
・クエン酸
クエン酸は酢やレモン、りんごなどに含まれます。たとえば、サラダに酢やレモンの入ったドレッシングをかけると、野菜に含まれるカルシウムを効率よく摂取することができます。
また、酢のものにわかめや小魚を入れることもおすすめです。
・良質なタンパク質
鶏のささみや魚介類、大豆製品なども、カルシウムの吸収をよくしてくれます。しかし、タンパク質の摂りすぎはかえってカルシウムを排出させてしまうので、食べすぎには注意しましょう。
・カルシウムの吸収を悪くしてしまうもの
カルシウムの吸収を妨げるとされている、次の食品には注意しましょう。
・リン
リンは、肉類や加工食品、スナック菓子、冷凍食品、清涼飲料水に多く含まれます。リンを摂取しすぎると、吸収の妨げになったり、体の外に排出したりしてしまいます。
カルシウムの吸収率がよい牛乳には、リンも多く含まれています。カルシウム摂取を牛乳だけに頼らず、他の食品も摂るよう心がけましょう。
現代の日本人は、特にリンを摂りすぎる傾向があります。スナック菓子や加工食品の食べすぎには注意しましょう。
・ナトリウム
梅干し、塩辛、カップラーメンなど、塩からいものに多く含まれるナトリウムも、摂りすぎると体内のカルシウムを排出してしまいます。
・シュウ酸
シュウ酸は、ほうれん草、タケノコ、チョコレートに多く含まれます。
シュウ酸はカルシウムだけでなく、骨をつくる材料になるマグネシウムの吸収をも妨げてしまいます。
・フィチン酸
フィチン酸は穀類、豆類に多く含まれます。強い排出作用があり、カルシウムや他のミネラルと結合して吸収を阻害します。
・食物繊維
穀類や、海藻類の食物繊維の中には、カルシウムの吸収を阻害するものもあります。
カルシウムを効率よく摂取しましょう
カルシウムは骨や歯の基になったり、興奮作用を抑える働きがあります。上手に生活にとり入れて、カルシウム不足にならないようにしましょう。また、ナトリウムやリンを多く含んだジャンクフード(スナック菓子など)は避けましょう。