食事制限ダイエット
中年以降の男女の2〜3割は肥満といわれます。肥満は生活習慣病と関連が深く、心筋梗塞や動脈硬化のリスクを高めます。改善方法は主に食事制限によるダイエットなどです。ここでは食事制限について、お伝えします。

食生活の欧米化や食事バランスの乱れ、嗜好品の摂りすぎなどによって、肥満の人が増えているといいます。体重や体脂肪率が多い、ドクターから生活習慣病のリスクを指摘されたことがある、健康診断の結果で注意すべき項目があった、などの場合には食習慣の見直しが必要となることもあります。ここでは、食事制限によってダイエットを行う意味と、実践の際の注意点について解説します。
食事制限が大切な理由
肥満かどうかは、BMI(Body Mass Index)という体格指数などで知ることができます。BMI=体重kg÷(身長m×身長m)という式で求めることができ、標準は18.5〜24.9です。22のときにもっとも病気にかかりにくいといわれ、25以上だと肥満とされます。日本人だと、男性では20代以上で約2〜3割が、女性では40代以上で約2〜3割が肥満との報告があります。このことから、特に中年以降は3、4人に1人が肥満だと言えます。
肥満はなぜよくないか
食べすぎ・飲みすぎなどの栄養過剰によって、身体に皮下脂肪や内臓脂肪がつきやすくなります。特に内臓脂肪型の肥満では心臓病につながりやすい他、さまざまな疾患を合併することがあります。たとえば、血中コレステロール異常である脂質異常症(高脂血症)、高血圧、糖尿病といった生活習慣病です。これら全てを合併した状態をメタボリックシンドローム(代謝異常症候群)と呼びます。こうなると、動脈硬化や心筋梗塞のリスクがぐっと上がります。BMIが25以上の肥満の人では、BMI22の標準値の人に比べて高血圧と脂質異常症のリスクが2倍になるともいわれています。
これらの疾患リスクの原因となっているのは肥満です。食事制限を行うことで、症状が改善する可能性は高いと言えます。食事制限といっても、いきなり粗食にするのではありません。もともと習慣的に必要以上のエネルギーを摂取する、脂分や糖分の多い食事をとるなどの不健康な食生活である場合が多いわけですから、それを適切な量と栄養バランスにすることが目標となります。疾患のリスクがある人や、すでに検査値などに異常が現れている人については、特定の品目や摂取量が制限されることもあります。
食事制限ダイエットの注意点
医師から食事制限をするよう指導を受けた場合は、それに従うようにしましょう。自ら食生活を見直す場合は、年齢・性別・身長などにもよりますが、「標準体重の人が1日に摂取する適正カロリー」を目標とします。身長が160cmの場合、BMI22の標準体重は1.6×1.6×22=56.3kgとなります。標準体重と摂取カロリーの目安は、体重1kgあたり25〜30kcalといわれますから、56.3×25=1400kcal程度が目標ということになります。
食事制限の工夫
食事制限を始める際、食事量は急に減らすのではなく、徐々に行うとリバウンドの可能性を減らすことができます。食べる量が減ると空腹を感じるかもしれません。そういうときには、空腹の時間を減らす心がけが必要となります。あくまで1日の総摂取カロリーを守りつつ、食事の回数を5回などに小分けするか、一度に200kcalまでの間食を入れるなどがすすめられます。
食事内容は、栄養バランスのよさが大切です。主食で炭水化物を、主菜でタンパク質を、副菜で野菜などのビタミンやミネラルを多く含む食品を摂取することが望ましいとされます。脂肪分の多いものは控え、代わりに低カロリーで満足感のある食品を選ぶとよいとされます。たとえば、お肉はバラ肉よりもモモ肉など赤身の多い部位を選ぶ、肉よりは魚を選ぶ、繊維質の多いきのこやこんにゃくを豊富に使用して満腹感をだす、などが考えられます。調理法についても、揚げるより焼く・煮る・蒸すといった工夫ができます。
食事制限ダイエットにあわせて行う運動
食事制限によって摂取カロリーを減らすとともに、運動で消費カロリーを増やすことが肥満解消に役立ちます。日常のちょっとした動作から運動量を増やすことも有効ですから、試してみることをおすすめします。デスクワークが多い人は特に、通勤移動でなるべく席に座らない、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、家から一つ先の駅を乗り降りする、などが手段として考えられます。家にいることが多い人は、積極的に散歩する、近距離なら車を使わず徒歩や自転車を使う、動作の合間に軽い筋トレやストレッチをはさむなどがあげられます。
もちろん、興味のあるスポーツに取り組むのもおすすめします。急に激しく運動すると体を痛めたり、心筋梗塞などの発作につながったりすることもあるため、徐々に体を慣らしていくことが求められます。筋トレのように筋肉量を増やす運動と、ジョギングなどのように脂肪を効率よく燃焼させる運動の両方をおりまぜると、より効果が高いといわれます。
日々の習慣を変えるのは根気が必要なことですし、数日の取り組みではっきりとした変化を実感できるものでもありません。ダイエットが肥満の改善につながるとわかっていても、くじけそうになる人は多いといわれます。そのようなときのために、日記代わりに食事・運動の内容や体重の推移を記録することが大切です。成果が目に見えてわかるため、モチベーションを維持するのに役立ちます。誰かと一緒に取り組んで、お互いに励まし合うのも効果的と考えられます。