クロムは、必須ミネラルのひとつで、主に代謝を助ける働きがあります。日常生活の普通の食事で十分に必要な量を補える栄養素です。クロムは、どのような食品に多く含まれているのか、解説していきます。

クロムは通常の食生活を送っていて、不足することはほとんどないといわれていますが、どのような食品に多く含まれるのでしょうか。クロムが多く含まれる食品をみていきましょう。
クロムとは
クロムには、インスリンの作用を活性化させ血液中のブドウ糖をとり込み、エネルギーにするという働きがあります。また、善玉コレステロールと悪玉コレステロールの割合を改善する働きも持っているので、クロムを多く含む食品の摂取することで、糖尿病などの生活習慣病の予防やコレステロール値の改善に効果が期待できます。
クロムが不足することによる身体の変化
クロムが不足すると、高血圧や高脂血症、動脈硬化や糖尿病などに発展するケースがあります。また、糖代謝がうまく行われなくなりエネルギーを消費しにくくなるため、ダイエットのために運動をしても効果が現れにくくなります。
クロムは食品で摂取可能
クロムの1日に必要な量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によるクロムの食事接種基準で10μg(=マイクログラム)とされています。吸収率が2~3%と低いクロムですが、必要とされている量も微量ですので、サプリメントに頼らなくても、通常の食事で摂取することができるとされています。日本人の一般的な食生活で、クロムが不足することはほとんどないでしょう。
クロムの多い食品と効果的な食べ方
クロムを摂取しやすいのは海藻類
食品群の中で、クロムを摂取しやすいのは藻類です。100gあたり、あおのりには41μg、干しひじきには24μgと多く、マコンブや海苔にも含まれています。
日本人は比較的海藻類をよく摂取するので、クロム不足になることは少ないとされています。
魚介類や種実類などにも比較的多い
魚介類や種実類にも、クロムが比較的多く含まれています。魚介類では、マサバとサザエは100gあたり6μgのクロムが含まれ、アサリやシジミ、エビなども含有量が多いです。種実類では、たとえばアーモンドには9μg、銀杏は5μg含まれています。
そのほか、ビール酵母やハーブ、スパイスなども、クロムを多量に含む食品です。肉類では、牛肉やレバー、加工食品では、コンビーフやベーコンがクロムの含有量が多い食品としてあげられます。野菜類では、緑黄色野菜ではほうれん草やブロッコリー、淡色野菜ではキャベツです。黒糖蜜や黒こしょう、チーズ、ナッツ類にも多く含まれています。
穀類は精米で失われる
穀類もクロムを多く含んでいますが、精製することで大半が失われてしまうため、多くを摂取することはできません。日本人がよく口にする米では、精米後のクロムは本来の10%以下しか残りません。
クロムは意識して摂取をしなくても、不足することも過剰となることも少ないですが、栄養バランスのとれた食事をとるように心がけましょう。
クロムの過剰摂取で起こる身体の変化
サプリメントなどでクロムを過剰に摂取すると、腹痛や下痢、嘔吐、皮膚炎、呼吸器の炎症などが起こる可能性があるといわれています。
最後に
クロムの血中の移送はアルブミンやトランスフェリンで運ばれるので、鉄の静脈注射は、トランスフェリン不足によってクロム代謝に障害を与えるかもしれません。また、クロムは尿中または毛髪中に排泄されますが、単糖類や二糖類の多い食事は尿中クロム排泄量を増やしてしまいます。
また、各種ストレスでも尿中排泄は増加します。糖質を多糖の形で摂るとクロムが吸収されやすくなるといわれています。ビタミンCはクロムの吸収を促進しますので積極的にとりましょう。