ミネラルのひとつであるリンは、骨や歯を丈夫にしたり、体内にエネルギーを蓄えたりと、生命活動に欠かせない物質です。リンがどのような影響を体に及ぼすかについて、詳しく解説していきます。

リンは人間の体内で、どのような効果をもたらすミネラルなのでしょうか。生命維持に欠かせないとされるリンが及ぼす影響について、大きく3つに分けてみていきましょう。
骨や歯を丈夫にする
リンが体内でおよぼす影響の中でも、大きな割合を占めるのは骨や歯の形成です。体内のリンのうち約80%は、カルシウムやマグネシウムと結合することで、リン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムとなり、丈夫な歯や骨を形成しています。
骨に含まれるミネラルは、カルシウムに次いでリンが多く、骨の強度を保つために欠かせません。リンが欠乏すると、歯や骨が弱くなってしまいます。
体内のエネルギーを蓄える
リンは、体内にエネルギーを蓄える働きに大きく関係しています。
人間などの生物は、細胞の中にあるATP(アデノシン3リン酸)にエネルギーを蓄えています。リンはATPの構成成分として、細胞の生命活動を支える重要な役割を担う物質です。ATPからリンが引き離されて、ADP(アデノシン2リン酸)になることで、細胞の生命活動に必要なエネルギーが放出されます。体内のさまざまな部位で、日々エネルギーがつくられて蓄積されています。
このようにリンはさまざまな生理機能の維持(代謝)に関わっています。
リンが不足すると細胞の成長やエネルギーの運搬が行えなくなるため、筋肉が衰えたり、疲労を感じやすくなったりといったことが起こります。
細胞の成分になる
タンパク質や脂質、糖質などと結合することで、体内のリンのうち15%程度は、さまざまな細胞の成分となります。
リンの一部はリン脂質として細胞膜となり、細胞を隔てる膜としてエネルギーの運搬にも関わっています。遺伝子を形づくるDNAやRNAなどの遺伝情報を持つ核酸や、神経細胞の軸索(じくさく)という突起のさや、神経伝達物質の構成成分なども、リンが細胞の成分として含まれています。また、リン脂質は脳の形成にも欠かせない物質です。
リンはさまざまな物質と結合することで、体のあらゆる部分の細胞に存在して、健康な骨や歯をつくるとともに、生命活動に必要な効果を及ぼしています。