
ダイエッターの天敵、「体脂肪」。ダイエットを行うのであれば、この「体脂肪」を減らし、体脂肪以外の組織を健全に保つことを志すべきであるというのは、もはや常識と言えるくらい一般に浸透しています。
それでは、体脂肪はどのようにして消費されるのでしょうか。まずは脂肪燃焼のメカニズムを正しく知り、効果的なダイエットの方法や、自分に合ったサプリメントを選ぶようにしましょう。
そもそも、脂肪細胞とは?
私たちの身体には、「褐色脂肪細胞」と「白色脂肪細胞」の2種類の脂肪細胞があり、それぞれの役割は以下の通りです。
(1)白色脂肪細胞
一般に体脂肪と呼ばれるのがこの白色脂肪細胞で、体内に入った余分なカロリーを中性脂肪の形で蓄積します。白色脂肪細胞は下腹部、お尻、太もも、背中、腕の上部、内臓の回りなどに多く存在しており、身体表面にあるのは「皮下脂肪」、内臓周辺に存在するのは「内臓脂肪」と呼ばれます。
(2)褐色脂肪細胞
一方褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞とは逆に、体内に蓄積された余分なカロリーを熱に替え、放出させる働きがあります。簡単に言うと、「脂肪を燃焼させる脂肪」です。
褐色脂肪細胞は生まれたばかりの時には約100gあったものが、成人になると40g程度に減ってしまい、一度減少した褐色脂肪細胞自体を増やすことはできませんが、活性化することができます。
褐色脂肪細胞の働きが活発な人はエネルギーをたくさん消費し、太りにくく、活発でない人はエネルギーの消費が少なく、太りやすくなります。
褐色脂肪細胞の分布場所は、首の周り、脇の下、肩甲骨の周り、心臓、腎臓の周りの5ヶ所のみで、下半身にはありません。
脂肪燃焼のメカニズム
上述の通り、白色脂肪細胞に蓄積した中性脂肪は、褐色脂肪細胞によって放出されます。具体的には、以下のような経過で脂肪は燃焼します。
(1)運動などを行うことで活動エネルギーが不足した状態となる
(2) 成長ホルモンや アドレナリンなど、「脂肪動員ホルモン」が分泌される
(3)褐色脂肪細胞が活性化し、白色脂肪細胞に蓄積した脂肪を分解するリパーゼという酵素を生成
(4)リパーゼが血液によって運搬され、白色脂肪細胞に到達
(5)脂肪が分解され、グリセロールと遊離脂肪酸となり血液中に放出される
(6)グリセロールと遊離脂肪酸が全身の筋肉細胞に届く
(7)遊離脂肪酸が細胞のミトコンドリアに取り込まれる
(8)脂肪酸がエネルギーとして燃焼される
脂肪燃焼系サプリメント成分の種類
このような長い経過を経て、白色脂肪細胞に蓄積した脂肪は燃焼しますが、どこかに脂肪燃焼を滞りが生じると、せっかく運動などをしても、上手く白色脂肪細胞の中性脂肪が使われなくなってしまいます。
それでは、それぞれの工程でどのような滞りが生じることがあるのか、またどのような成分がその滞り解消をサポートするのかなどを解説していきます。
A脂肪動員ホルモンの分泌
(1)運動などを行うことで活動エネルギーが不足した状態となる
(2) 成長ホルモンや アドレナリンなど、「脂肪動員ホルモン」が分泌される
ダイエットが必要な方の多くは、それまで運動を定期的に行ってこなかったなどの理由で、アドレナリンや成長ホルモンといった「脂肪動員ホルモン」の分泌が鈍っている場合があります。
この問題を解決すると言われる成分には、以下のようなものがあります。
- カプサイシン:唐辛子の辛みの主成分で、アドレナリンの分泌を高める
- カフェイン:中枢神経系を刺激して、覚醒を促し、アドレナリンの分泌を高める
- オルニチン、アルギニン、チロシン:アミノ酸の一種で、成長ホルモン生産や分泌をサポート
B褐色脂肪細胞活性化の工程
(3)褐色脂肪細胞が活性化し、白色脂肪細胞に蓄積した脂肪を分解するリパーゼという酵素を生成
(4)リパーゼが血液によって運搬され、白色脂肪細胞に到達
(5)脂肪が分解され、グリセロールと遊離脂肪酸となり血液中に放出される
→太りやすいタイプの方は、前述の通り、褐色脂肪細胞が活発に働かないケースがあります。このような場合、以下のような成分が褐色脂肪細胞の活性化を促進すると言われています。
- 共役リノール酸(トナリンCLA):サラダ油として有名なリノール酸から数%だけ抽出される成分。褐色脂肪細胞を活性化するとして、アメリカのアスリートやボディビルダーに人気だったことから日本でも注目されるようになった。
- EPA、DHA:いわし・さばなどの青魚に豊富に含まれる成分。マウスを使った実験では、褐色脂肪細胞を活性化するのみならず、白色脂肪細胞側にエネルギーを放散するタンパク質が増加したという研究結果が発表されている。
C脂肪が分解され、筋肉などに届くまでの工程
(7)遊離脂肪酸が細胞のミトコンドリアに取り込まれる
(8)脂肪酸がエネルギーとして燃焼される
ミトコンドリアの活動が鈍っていると、運ばれてきた脂肪を筋肉などに取り込み、エネルギー源として効率的に使用することができません。
このような場合、以下の成分が脂肪のミトコンドリアへの取り込みや、ミトコンドリアでの活用をサポートすると言われています。
- L-カルニチン:人間をはじめ、多くの生物の生体内に存在し、脂肪酸をミトコンドリア内部に運搬する必須の役割を担っている成分。
- コエンザイムQ10:細胞の中にあるミトコンドリアに存在し、取り込まれた脂肪からエネルギーを作り出す働きをしている。
- カテキン:お茶などに含まれるポリフェノールの一種。ミトコンドリアを活性化するという研究結果が発表されている。