1月9日から公開された映画『五十年目の俺たちの旅』を観に行きました。そこで再会したカースケ、オメダ、グズ六の姿。そしてカースケが放った言葉は、迷っていた私の背中を力強く押し、心の霧を晴らしてくれました。

実はわたしには、中学時代に弁護士を目指していたという過去があります。世の中の不条理を正したい、弱い立場の人を助けたい。そんな純粋な正義感に燃えていました。しかし、家庭の事情により法学部への進学は叶わず、その夢を諦めざるを得ませんでした。当時の悔しさや、どうにもならない不条理を経験したこと。それこそが、今のわたしの正義感や、曲がったことに対する想いの原点になっています。

1975年、9歳だったわたしは、テレビの前でカースケたちの自由な姿に釘付けになっていました。それから50年。スクリーンの中でカースケが放ったこのセリフが、今のわたしに深く、深く、腑に落ちました。

「生きるのが楽しくない奴の方が俺より馬鹿だよ。 たとえ生活が安定していようと、金が有ろうと、地位が高かろうと、生きるのが楽しくない奴は俺よりずっと馬鹿だよ」

世間の物差しで見れば、安定した職を辞めるのは無謀に見えるかもしれません。しかし、地位や名誉、安定のために自分の正義を押し殺して生きることは、わたしにとって「楽しくない生き方」そのものです。これまでも、自分が本当に「やりたい」と思える仕事にこだわり、カースケのように転職も多く経験してきました。ふと立ち止まり、不安になることもありましたが、50年経っても変わらないカースケの価値観に触れ、「自分の生き方はこれでいいんだ」と、歩んできた道を誇らしく思うことができました。

久しぶりに観た『俺たちの旅』は、忘れていた大切なものを思い出させてくれる、素晴らしい時間となりました。あの頃夢見た弁護士にはなれなかったけれど、今のわたしは、自分の心に嘘をつかずに笑えています。