2022年6月17日から公開(地元の映画館では7月1日から公開)されている映画『PLAN 75』 を観ました(鑑賞日:2022年7月3日)
解説
これが長編デビュー作となる早川千絵監督が、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の一編として発表した短編「PLAN75」を自ら長編化。
75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れられた。
夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。
年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれた。ミチ役で倍賞千恵子が主演。磯村勇斗、たかお鷹、河合優実らが共演する。
映画.comより
75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れられた。
夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。
年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれた。ミチ役で倍賞千恵子が主演。磯村勇斗、たかお鷹、河合優実らが共演する。
映画.comより
【感想】
『PLAN 75』のストーリーを聞いてまず頭に浮かんだのは、『うば捨て山』の昔話。長野県千曲市の冠着山(姨捨山とも呼ばれています)にまつわる、貧しさゆえの口減らしとして、制度として老人を山へ捨てなければならなかった、という伝説でした。1983年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作「楢山節考」で描かれた姥(うば)捨ての風習も同じ内容ですよね。『うば捨て山』は、お年寄りを大切にしようという終わり方でしたが、『PLAN 75』はどうだろうか
と思いながら観ました。

始まってすぐはかなり衝撃的な展開で、一体何が起こったのだろうと思っているうちに理解できましたが、この先のストーリーの重たさを予感しました。
高齢を理由に解雇されてしまい、78歳になっても再就職しなければ生きていけない中、ハローワークでは求人もなく、友人を頼っても仕事はなかなか見つかりません。友人の死も目の当たりにして、だんだん気持ちが落ちていきます。そして、自ら『PLAN 75』を選択します。もっと真に迫る内容かと想像していましたが、淡々と進みました。「何が伝えたいの
」というモヤモヤした感じが残りましたが、観た人それぞれに問いかける映画でした。

地元のまつもと市民芸術館総監督の串田和美さんが出演され、エンドロールで名前が出ていました。
本作で描かれる『PLAN 75』という政策はフィクションですが、描かれているのは今の日本社会そのものです。年金受給が年々繰り上げられ安心して歳をとることが出来ないのが今の日本です。「長生きすることは罪なのか」考えさせられました。
1日1回の上映だったこともありますが、ほぼ満員でそしてその多くがPLAN75適用対象となる高齢者でした。多くの高齢者の方は、『PLAN 75』は他人事ではないのだと思います。
自分が20年後に75歳になる頃には、お金、仕事、住宅、家族がどうなっているのだろうかと考えさせられました。生きづらい人に対して死の選択肢を差し出すような社会ではなく、共に生きようと手を差し伸べる社会であっていて欲しいと願っています