「王様のブランチ」の「BOOKコーナー」は録画して毎週見ているのですが、そこで紹介されたのを見て、読みたい!と思って書店に行って買った本です。

内容は、心療内科に通う青年(由人24歳)、倒産寸前の会社の女社長(野乃花48歳)、親の過干渉で潰れそうな少女(正子16歳)。三人が転がるように流れ着いた、その果てとは・・・?とちょっと重たい感じですが、主人公の由人がうつ病に罹っているところが、何となく読みたくなったポイントかもしれません。帯の「ただ「死ぬなよ」って、それだけ言えば良かったんだ」にも惹かれました。

いつも買うのは雑誌かビジネス書か自己啓発書ばかりで、小説なんて滅多に買わないので、久しぶりの購入でした。でも、買ったのは2月下旬でしたが、読み終えたのは、6月の初旬と、やっと読み終えることができたという感じです苦笑

それぞれの人生に行きづまり、追い込まれ自殺を考えている人たちが、死ぬ前に湾に迷い込んだ鯨を見に行く話。テーマの目新しさやインパクトのようなものはあまりないのですが、文章の細かいところ、その人物の気持ちがひしひしと伝わってきて、その世界にはまりながら読み進めました。

「晴天の迷いクジラ」の意味は、後半になってわかってきますが、主人公三人それぞれに抱えた苦しみとそのエピソードがすんなりと調和して、最後には、ああそうなんだと心にストンと落ちるものを感じました感動

主人公の由人は、まさにうつ病の真っただ中で、小説の中でも、よく知っている抗うつ薬の名前が出てきたりします。そんな由人が自殺未遂をするのですが、うつ病に罹ったことがある人なら、自殺を考える人は多いと思います。

「死ぬなよ」

作中の中でこれほど感動する言葉はないと思います。人間生きていれば死にたくもなる。でも、どんなに苦しくても、生きようというメッセージ。自殺なんかしてはいけない。「とにかくなにがあっても生きてください」という作者のメッセージがこの本には込められていると、思いました。

どんな人にもお薦めですが、まさに今うつ病と闘っている人に、ぜひ読んで欲しい1冊ですおすすめ

『晴天の迷いクジラ』


商品の説明(Amazon.co.jpより)

内容(「BOOK」データベースより)

壊れかけた三人が転がるように行きついた、その果ては?人生の転機に何度も読み返したくなる、感涙の物語。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

窪 美澄
1965(昭和40)年、東京都稲城市生まれ。カリタス女子中学高等学校卒業。短大を中退後、さまざまなアルバイトを経て、広告制作会社に勤務。出産後、 フリーの編集ライターに。妊娠・出産を主なテーマとし、その他女性の体や健康、漢方、占星術などについて雑誌や書籍で活動する。2009年「ミクマリ」で 第8回女による女のためのR‐18文学賞大賞を受賞。2010年には受賞作を所収した『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)を発表(本データはこの書籍が 刊行された当時に掲載されていたものです)