前に「知的・精神障害者の雇用数が少ない理由」
という記事を書きましたが、今読んでいる
に、同様の内容について書かれたところがあったので、備忘録のつもりで書いておきます
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平成18(2006)年の障害者自立支援法の運用開始と前後して、障害者雇用促進法も改正された。それによって、障害者の雇用という問題に、大きな変化が生じた。精神障害者がクローズアップされるようになったのである。
自立支援法と雇用促進法は、別々の法律だが連動している。自立支援法は、どちらかと言うと福祉の側面が強い、厚生労働省管轄の法律だ。簡単に言うと、「福祉の費用がないので、障害者もなるべく施設から出て働いてください」という内容になっている。
雇用促進法もそれと連動して、企業への指導を厳しくするなど、障害者が雇用されやすい状況を作ろうとしている。中でも、企業の法定雇用率に「精神障害者」がカウントされるようになった点、これが画期的なポイントだ。
一口に障害者と言っても、大きく三つに分けられる。手足や耳などが不自由な「身体障害者」、知能の障害がある「知的障害者」、うつ病や統合失調症など精神に病気を持った「精神障害者」だ。
かつて、企業に精神障害者を雇う義務はなかった。ところが、障害者雇用促進法の改正によって、精神障害者も企業の法定雇用率に算入されることになった。まだまだ改善すべき点はたくさんあるが、少しずつ、精神障害者にも門戸が開かれるようになっている。
私の感覚では、精神障害者を受け入れる用意が進むと同時に、精神障害者たちの働くモチベーションも上がってきたことを感じる。ジョイの登録者を見ても、このところ、精神障害者の割合が急増している。
とは言え、企業側の受け入れ態勢はまだ整っていない。それは、社内でうつの社員が急増し、その問題が解決していないのに、新たに精神障害者を採用できない-というのが大きな理由の一つだ。
知的障害者もやはり就職は難しいが、特例子会社を作って知的障害者を雇うケースは意外と多い。そういう雇用は、最初は十人程度からスタートするので規模は小さいが、精神障害者に比べればむしろ就職しやすいかもしれない。
知的障害で知能指数が低い人の場合、平均的な作業能力は高くない。ただし、精神障害者に比べると、障害の特徴が把握しやすいところがある。一方で精神障害者の場合、雇う側は労働のパフォーマンスを考える前に、雇うことのリスクを考えなくてはいけない。
リスクとは、(完全に落ち着いていてコントロール可能な人たちを除いて)「いつ、どのような状態になるかわからない」というものだ。中には、いつ発症して会社を休んでしまうのか、本人も予測できないケースがある。気の毒ではあるが、そうなると会社としても、どんな仕事をどんな形で任せていいかわからなくなる。予測が可能で把握できる障害を持つ人については、会社も雇用のために仕事の工夫のしようがあるが、「わからない」ことほど、雇う上で難しいことはない。
なお、これははっきり言っておくが、精神障害者には優秀な人材が多い。環境さえ整えば、高いパフォーマンスを発揮できる可能性を秘めている。そこで活躍して自信がつけば、一般の職場に戻ることもまったく問題ないし、そうしている人も少なくない。
知的障害者の場合は、高いパフォーマンスは期待できなくても、素直で、身体が元気で、真面目な人が多い。要するに、リスクが少ないというイメージがある。そのため、企業にとって雇いやすい側面もある。
もちろん私は、精神障害者が問題を起こしやすいと言っているわけではまったくない。ただし、ある程度の企業になると、まず「リスクをなくしたい」という考えが先に立つ。そういう企業の特性が、残念なことに精神障害者の就職を妨げている部分があるのは否めない。最近は、雇用促進法の改正によってそういう風潮も次第に弱まり、精神障害者もいろいろな機会に積極的にチャレンジするようになり、少しずつ結果も出るようになってはいる。ただし、まだハードルは高い。
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厚生労働省によると、平成20(2008)年6月時点で、民間企業に雇用されている障害者は約32万5千人で、前年に比べて約2万3千人増えた。このうち精神障害者の雇用は、わずか約6千人にとどまっているのが現状。ちなみに、身体障害者は約26万6千人、知的障害者は約5万3千人である。
精神障害者の雇用となると、まだまだハードルが高いという現実を改めて認識した。何とかより多くの精神障害者が働けるような社会にしたいという思いを強く抱いた。


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平成18(2006)年の障害者自立支援法の運用開始と前後して、障害者雇用促進法も改正された。それによって、障害者の雇用という問題に、大きな変化が生じた。精神障害者がクローズアップされるようになったのである。
自立支援法と雇用促進法は、別々の法律だが連動している。自立支援法は、どちらかと言うと福祉の側面が強い、厚生労働省管轄の法律だ。簡単に言うと、「福祉の費用がないので、障害者もなるべく施設から出て働いてください」という内容になっている。
雇用促進法もそれと連動して、企業への指導を厳しくするなど、障害者が雇用されやすい状況を作ろうとしている。中でも、企業の法定雇用率に「精神障害者」がカウントされるようになった点、これが画期的なポイントだ。
一口に障害者と言っても、大きく三つに分けられる。手足や耳などが不自由な「身体障害者」、知能の障害がある「知的障害者」、うつ病や統合失調症など精神に病気を持った「精神障害者」だ。
かつて、企業に精神障害者を雇う義務はなかった。ところが、障害者雇用促進法の改正によって、精神障害者も企業の法定雇用率に算入されることになった。まだまだ改善すべき点はたくさんあるが、少しずつ、精神障害者にも門戸が開かれるようになっている。
私の感覚では、精神障害者を受け入れる用意が進むと同時に、精神障害者たちの働くモチベーションも上がってきたことを感じる。ジョイの登録者を見ても、このところ、精神障害者の割合が急増している。
とは言え、企業側の受け入れ態勢はまだ整っていない。それは、社内でうつの社員が急増し、その問題が解決していないのに、新たに精神障害者を採用できない-というのが大きな理由の一つだ。
知的障害者もやはり就職は難しいが、特例子会社を作って知的障害者を雇うケースは意外と多い。そういう雇用は、最初は十人程度からスタートするので規模は小さいが、精神障害者に比べればむしろ就職しやすいかもしれない。
知的障害で知能指数が低い人の場合、平均的な作業能力は高くない。ただし、精神障害者に比べると、障害の特徴が把握しやすいところがある。一方で精神障害者の場合、雇う側は労働のパフォーマンスを考える前に、雇うことのリスクを考えなくてはいけない。
リスクとは、(完全に落ち着いていてコントロール可能な人たちを除いて)「いつ、どのような状態になるかわからない」というものだ。中には、いつ発症して会社を休んでしまうのか、本人も予測できないケースがある。気の毒ではあるが、そうなると会社としても、どんな仕事をどんな形で任せていいかわからなくなる。予測が可能で把握できる障害を持つ人については、会社も雇用のために仕事の工夫のしようがあるが、「わからない」ことほど、雇う上で難しいことはない。
なお、これははっきり言っておくが、精神障害者には優秀な人材が多い。環境さえ整えば、高いパフォーマンスを発揮できる可能性を秘めている。そこで活躍して自信がつけば、一般の職場に戻ることもまったく問題ないし、そうしている人も少なくない。
知的障害者の場合は、高いパフォーマンスは期待できなくても、素直で、身体が元気で、真面目な人が多い。要するに、リスクが少ないというイメージがある。そのため、企業にとって雇いやすい側面もある。
もちろん私は、精神障害者が問題を起こしやすいと言っているわけではまったくない。ただし、ある程度の企業になると、まず「リスクをなくしたい」という考えが先に立つ。そういう企業の特性が、残念なことに精神障害者の就職を妨げている部分があるのは否めない。最近は、雇用促進法の改正によってそういう風潮も次第に弱まり、精神障害者もいろいろな機会に積極的にチャレンジするようになり、少しずつ結果も出るようになってはいる。ただし、まだハードルは高い。
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厚生労働省によると、平成20(2008)年6月時点で、民間企業に雇用されている障害者は約32万5千人で、前年に比べて約2万3千人増えた。このうち精神障害者の雇用は、わずか約6千人にとどまっているのが現状。ちなみに、身体障害者は約26万6千人、知的障害者は約5万3千人である。
精神障害者の雇用となると、まだまだハードルが高いという現実を改めて認識した。何とかより多くの精神障害者が働けるような社会にしたいという思いを強く抱いた。